冬眠
冬眠
春はうたた寝
夏は昼寝
秋はまどろみ
冬は冬眠
うららかでのどかな昼過ぎ
ゆっくりと漕ぎ出す船は
そよ風に帆を張り
波打つ若草の海を渡って
桜色の夢を見る
蝉の鳴き声が
夕立のように激しく降る午後
脳も体も氷のように溶けてしまう
チリーンと鳴る風鈴が
催眠術をかける
陽だまりに
さらさらと光と葉が散る
うずくまった背中に優しい
読みかけの本のページが
扉を開ける
眠りが手招きしている
体にも頭にも眠気が
グラスになみなみと注がれたシャンペンのように
夢はその水泡のように浮かんでは消える
眠りはグラスの底に沈んでいく