表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正夢注意報  作者: 鋭利な刃
2/2

灰色の坂道

正夢注意報、解除中。

陰鬱な、朝だった。


今日の空は、見事な快晴。

ジリジリと暑い日差しが降り注ぎ、もう9月も半ばだと言うのに、汗が噴き出してくる。


そんな暑い中、俺は通ってる学校の制服を嫌々羽織り、遅刻する気満々で、ノロノロと通学路を歩いていた。


憂鬱だった。


俺には夢が無い。

目標はある。

ただ、その目標の為に何かをしようとする気は、とっくに無い。


ただただ、家と学校を往復し、何かに呪われているかのような目つきで授業を受け、家に帰れば自室に引きこもり、ネットに浸る。


それだけだ。俺の毎日を説明すると、それ以外の説明は出来ない。


いちよう妹も居るが、話なんて殆どしてない。


親は出稼ぎに出てる為、年に数回くらいしか会わない。


でも、俺はこんな毎日に満足していた。


ネットでなら、俺に共感してくれる人がいる。


ネットでなら、俺はそこそこに人気のある人間になれる。


ネットでなら、俺の愚痴を聞いてくれる人がいる。


もしかしたら俺は、寂しかっただけなのだろうか。


1人で過ごす事に、いつの間にか慣れ、いつしかそれが当たり前になってしまった。


今では別にどうでも良くなっているが、

記憶を辿れば、俺は確か、家族の事が大好きだった様な気がする。


毎日妹と一緒に遊び、泥んこになって家に帰り、家族で食卓を囲み、風呂に入って、皆仲良く寝る。


そんな毎日が大好きだった……筈だ。


しかし今では、妹は妹で少し引きこもりがちになり、父親が死んだ事によって、母は出稼ぎに出て、家族は実質、バラバラだった。


思えば俺は、なんでネットの中に閉じこもったのだろうか。


もはや全く興味のわかない家族の昔を考えながら、俺は最後の坂を上る。


この坂を登り切れば、俺と妹が通ってる学校が見えてくる。


俺は、もはや興味の無くなってしまった家族の昔を頭から投げ捨て、のろのろと、最後の10mを登った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ