プロローグ
初の連作小説に挑戦します。まだまだ拙いところも多々ありますが、少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
プロローグ
時は平安。当時の日本の中心であった京の都では多くの人が行き交っていた。貴族から商人。
そして妖怪と呼ばれる人ならざるものたちもまた、人の流れに紛れて存在していた。
ある者は神と崇められ、ある者は災厄として祓われ、ある者は人の想いから生まれ、人に仕えた。彼らは常に人と一線を引きながらも、共に過ごし、傍に寄り添って生きてきた。
しかし、彼らを全ての災厄の源と説く人間たちがいた。人間たちは自らを陰陽師と名乗り、人の世だけでなく、妖怪の世にも手を出し始めた。彼らは人に害成す妖怪のみならず、人と共に暮らしていた弱い妖怪も、神とされていた妖怪も容赦なく祓った。妖怪たちは東に西に逃げまどい、力ある者は必死に抵抗した。しかし、陰陽師たちは数で妖怪を圧倒し、一人また一人と消えていった。
その事実を知り、妖怪たちを酷く哀れに思った一人の僧が弟子たちを従えて、陰陽師らに対抗した。幾度も話し合い、説得し、時には武力を持ってぶつかり合った。
そして、僧と弟子たちは陰陽師らに、ある条件を提示した。
―妖怪たちを力のある人間たちに雇わせ、その力の一部を封じる。その代り、人の下に置かれた妖怪に手を掛けることを禁ずること―
全ての妖怪が人に禍をもたらすわけではないということを僧は、陰陽師らだけでなく、日本全国を渡り歩き、一人ひとりに説いて回った。すると、人々は警戒しながらも力の弱い妖怪に手を差し伸べ、仕事を与えた。妖怪は元々、一途なものが多い。特に人から生まれた妖怪は人に尽くすことを生きがいとするものが殆どだ。妖怪たちは与えられた仕事をきっちりこなし、ある地域では人よりも真面目に働くと噂になり、彼らを歓迎する村もあった。
民衆の考えが変わるにつれて、陰陽師らは僧が提示した条件を呑まざるを得なくなった。
働き者で人よりはるかに長生きする妖怪を雇う人間は増え、日本各地は飛躍的に栄えた。
人々は妖怪を雇う立場にありながら、彼らを敬い、また昔のように神として祀ることもあった。しかし、心ない人間というのも当然ながら存在し、そのような人間に雇われた妖怪は耐え切れず、雇い主を呪い殺すという事件も少なくなかった。
そして、時は流れ、人々が妖怪の手を借りながら、さらなる繁栄を遂げた平成の世。
これは、人と生きる妖怪たちのお話。
続。
どうも初めまして、屑鷹ノスリと申します。連作は初めてで、きちんと続けていけるか不安ですが、生暖かい目で見て頂けるとうれしいです。
今回は私が大好きな妖怪がたくさん出てきます。といってもそんなに怖くない筈…私自身がホラー苦手なので。でも妖怪は大好きです。都市伝説はあまり興味なかったのですが、これを期にいろいろ調べてみようかと…もしよかったら、皆さんの好きな妖怪、都市伝説情報を教えていただけると嬉しいです。
こんな感じで、気ままに書いていきますので、よろしくお願いします。