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部活を終えて帰ろうとすると、友達に会った。平田久美〈ひらたくみ〉。幼馴染で、家も近い。久美もこれから帰るところだったので、私たちは並んで歩いた。
「テスト、どうだった」
「そこそこ。日本史が、ちょっと下がった」
「でも、冬嗣〈ふゆつぐ〉がちょっと下がっても、あたしより上でしょ」
私は言葉を濁すしかなかった。
横断歩道で、信号に引っかかった。ここの赤信号は長い。もう話題も尽きそうだったので、私は何も考えず向こう側の看板を見ていた。
「春臣〈はるおみ〉は、どうだったの」
やや遠慮がちに、久美はそう尋ねてきた。春臣とは、私の双子の兄だ。私たちは、三人揃って幼馴染だった。
よく知らなかったので、
「さあ、聞いてない」
と答えた。
すると、久美は明らかに残念そうにした。私も馬鹿ではないので、その理由は分かる。久美は、春臣のことが好きだからだ。それでも告白することができず、こうやって私を通じて情報を得ようとしている。それでいいのだろうか。
私と久美は、次の信号で別れた。久美もここを渡るのが近いはずだが、用事があって他の道を通りたいそうだ。引き留める必要もなかったので、私はさよならを言って手を振った。
帰宅すると、春臣のローファーがあった。乱れていたので、揃えてやった。部屋に行くと、春臣がベッドで寝転がっていた。
「遅せーぞ、フユ。一緒にゲームやるって約束だろ」
「部活の顧問の話が長いんだよ。文句なら、俺じゃなくてそっちに言え」
私は鞄を片付け、椅子に座った。春臣もベッドから起き上がり、胡坐をかいた。
私たちの趣味は、ゲームだ。好きなジャンルが同じなので、いつも折半してソフトを買う。テストが終わってからは、夜中までやっている。きっと今日も、そうなる。
設定を済ませて、ゲームを起動する。春臣が男のキャラを操作し、私が女のキャラを操作する。春臣は見境なく撃つので、すぐに弾がなくなってしまう。すかさず私が助けてやると、サンキュー、ブラザー、と言われた。
チャプターをクリアしたので、コントローラーを置いて休憩する。ふと、久美との会話を思い出したので、春臣にテストの点数を聞いた。
「中間より、下がった」
「ヤバいだろ。赤じゃねぇのか」
「いや、四十点は堅い」
思いのほか話が広がったので、久美の名前を出した。
「久美も、かなりヤバいらしい」
「あいつ、アホだからな」
「おまえが言うな。どっこいどっこいのくせに」
少し眠くなったので、私は先に風呂に入った。ぼうっとしながら湯船に浸かるのが好きだ。こうしていると本当に疲れが和らぐ。




