第九十六話 ボス戦 2
遅くなってすみません。言い訳です。昨日朝4時まで働いてて、今日は12時からさっきまで働いてました。この後も働きます(T_T)
「エリ、避けろ!」
僕は叫ぶ。エリにオークのランスが迫る。エリツーがギリギリでかわしたお陰で、エリからは全くランスは見えなかったはずだ。いかん! これはかわせない。なんて事してるんだエリツー。僕のヒールでなんとかなるかもしれないがこれはやり過ぎだ。
「グッ」
エリにランスが触れ、エリが呻く。オークナイトの体重が乗ったあの勢い、僕はランスがエリの体を貫通する光景を想像した。
え……
何も起こらない。時が止まったかのようにオークナイトの動きが止まる。エリは微動だにしない。その手から剣がこぼれ落ちる。エリ、大丈夫なのか? エリの右手が動く。
バチン!
エリがオークナイトを引っぱたいた。今、僕の目の前では何が起こってるんだ? なにがなんだか分からない。オークナイトは首をあり得ない方向に傾けて吹っ飛ぶ。あ、こりゃ死んだわ。ボスなのに。
「大丈夫か! エリッ!」
僕はエリに駆け寄る。服のお腹の所が破けている。血は出てない?
「問題ないわ」
エリは髪をかきあげる。嘘だろ。あんなの食らって平気な訳が無いって。間違いなく無理してる。僕に心配かけないようにしてるんだろう。
「大丈夫な訳無いだろ。傷口を見せてみろ。ヒールをかけるよ」
「大袈裟だなー。大丈夫だって。ほらほら見てみて」
エリが服の裾を上げてお腹を見せる。ランスが命中したと思われる左のお腹には、爪で引っ掻いたような赤い線が一筋。エリの白いお腹に一瞬ドキッとしたけど、それより印象が強いのが、割れてるよ腹筋……
「えっ、どういう事なんだ?」
「簡単な事よ。お腹に力入れたら固くなるでしょ。当たる瞬間に固くしただけよ。誰にだって出来る事よ」
そっか、攻撃が当たる瞬間に体を固くしたら、女の子でもオークナイトの体重が乗ったランスの一撃でも耐える事ができるのかー。ってんな訳ねーよ。どんな腹筋してるんだよ。
「ちょっとー。そんな訳無いでしょ。脳筋鋼鉄メスゴリラにしか無理よ」
アイがツッコんでくれた。悪口に鋼鉄と言う新しいフレーズが入ってる。
「うわ、見てください。これ」
モモがオークナイトが持ってたランスを掲げている。先が見事に曲がっている。ハンガーのフックみたいになっている。いろんなものに引っ掛けられそうだ。
コンコン。
モモが床をランスで叩く。
「これってかなり良い武器ですよ。多分、鋼鉄製ですよ」
まじか、アイが言った通り、エリは鋼鉄より固いのか……オークナイトを張り手一発で倒す膂力に、鋼鉄より固い筋肉。もはや無敵なんじゃないか? 誰がこの生き物を倒す事が出来るんだろう。多分、王国最強だ。それに襲いかかってくる奴がいるなんて、たしかこういうのを『へそで茶を沸かす』って言うんだよな。馬鹿馬鹿しくて笑えないくらいだ。
「それより、エリツー、何あんたあたしになすりつけてんのよ。服が破けちゃったじゃないの」
エリがプンプンしてるが、服よりもお腹刺された事の方が大ごとだと思うけど。
「それは、エリ様が一緒に戦うとか言ってたのに、何もしようとしないからですよ」
エリツーはしれっとしてる。
「それは、あんたが喜んで突撃してったからじゃない」
なんか、エリとエリツーの間に険悪な空気が。まずい、この2人が戦ったら多分僕らも酷いとばっちりを受ける。
「送還!」
問答無用でエリツーを還す。
「ちょっと、ハルト、まだ話が終わって無いって」
やってもた。ヤバい。このままじゃ怒りの矛先が僕に。どうしよう……
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