第九十話 ボスの前に
と言う訳でもう一回。
「これで、どれだけ食べても太らないわ。そうよ。ほとんど下着のようなもんだし、下着代わりに使えばいいのよ」
当然、ビキニアーマーを手にしたのはエリだ。さらに化け物度が3割増しになるのか。恐ろしい……
僕は後ろを向かされて、エリは服の下にビキニアーマーを着込む。この迷宮には彷徨う魔物は居ないので僕が部屋から出ようとしたけど、もし、万が一何かあった時にパーティーが別れてたら危険と言う事で却下された。もしかして、僕が逃げ出すかもしらないって警戒されてるのかもしれない。
「多分、ここの天井にも隠し扉、あったりするんじゃないですか?」
モモが天井を探ると、簡単に隠し扉がみつかった。そして上るとまた宝箱。木製で、叩いた感触では罠が無さそうなので開ける。そうそういいものが入ってる訳もなく、中身はヒーリングポーションだった。僕らには回復魔法があるから売る事にした。そう言えば、スライム島の僕の家には結構な数のポーションがあるから、回収して売れば生活が楽になるかもしれない。この迷宮が終わったら、みんなに島に行く事を提案するとしよう。
地下3層に戻り、先に進む。エリがパワーアップして、ゴールドもやっぱり強化されたそうで、エリ、ゴールド、モモの3人でオークをサクサク倒していく。僕とアイは解体要員だ。すぐに袋はパンパンになり、入らない分のオークは勿体ないけど放置する。少しづつオークには慣れて来たから、僕も戦いたい。そう思っていたけど、迷宮は残す所、豪華な扉がついた一部屋、ボス部屋だけになりオークは打ち止めだ。この奥にはオークの上位種のナイトオークがいるそうだ。そいつと戦うのは僕には荷が重い。僕たちはボス部屋の近くの空き部屋に一端もどり休憩する事にした。携帯食と水を口にして、疲れが落ち着くまでゆっくりする事にした。とは言っても僕は全く疲れてない。時間が来てゴールドはメダルに戻ってしまった。休憩しないでゴールドがいるうちに戦った方が良かったかもしれない。けど、オカリナはもう一回使えるから問題は無い。
僕は座って壁に背を預け目を瞑る。寝る訳じゃないけど、少しは疲れてるかもしれない。目を閉じて動かないだけで少しは疲れが取れる。僕を挟んでエリとモモも座ってて、アイは僕の正面に座っている。なんかみんな近い。多分、僕はあんまり男らしくないから、女友達と同じ扱いなんだろう。
ん、遠くで足音がする。これはさっき聞いた音。僕は目を閉じたまま耳と鼻をフル稼働させる。
「みんな、また、奴が来てる」
「奴ってさっきのゴーレム男?」
エリが立ち上がる。
「また来てるって事は、私達に勝算があるって事よね。来るの早いわね」
アイは座ったままだ。目を瞑ってても音で分かる。
なんですぐに戻って来たんだろう。
「なんか嫌な予感がするわね。この短時間で戻って来たって事は」
そう言うとエリは手で僕の肩に触れる。目を開けた僕に、エリがオカリナを差し出す。
「あたしとモモで向かえうつけど、2人で厳しい状況になったら、すぐにハルトの精霊を呼び出して。いや、もうオカリナ吹いて。奴の狙いはあたしだから、精霊に影武者になってもらいましょ」
ゴールドを呼んだ方がいいと思うけど、その影武者って考えは魅力的だ。僕はオカリナを吹く。
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