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 第九話 うなぎ (エリ視点)


「エリはお魚は好きかい?」


 ハルトがあたしに問いかけてくる。その、上半身裸と髭モジャはなんとかならないかしら。心臓に悪い。

 短時間で、かなり彼は滑舌が良くなった。

 あたしはハルトのスキルについてずっと考えてた。あたしのスキル『鑑定』はスキルのレベルが上がるとその精度が上がる。今使える『詳細鑑定』ですら、王国には数人しか使える者は居ない。あたしが努力したのもあるけど、元々その素質もあったんだと思う。もっと鑑定のレベルが上がればハルトのスキルの具体的な効果も分かるかもしれない。

 そう言えば、ハルトが話しかけて来たんだった。魚? そりゃ好きよ。美味しい魚は海のそばでしか食べられないから。


「うん」


「じゃ、魚、獲りに行こう」


 洞窟を後にするハルトについていく。ハルトは家の奥にフルーツを置く。これはヤバい。本当にアンブロシアが腐るほどある。食べたい。全部食べたい。

 ハルトには悪いけど、多分、あたしを探す船は来ない。あたしが死んで喜ぶ人は何人も居るから。多分、事故じゃ無かったんだと思う。けど、あたしはこの島にしばらく居たい。自分自身を守るためにもっと強くなりたい。そのための手段が目の前に山積みにされている。フルーツって食べても太らないわよね。って打算的な自分が嫌になる。

 それに、一つ心配がある。間違いなくハルトは化け物だ。それを王国に連れて帰っていいものだろうか? 間違い無く大混乱が起きる。彼が暴れたりしたら止められる者は居るんだろうか? ハルトはずっとここに居た方が彼も国も幸せなんじゃ無いだろうか? 


 けど、さっきハルトは本当に国に帰りたそうだった。


 涙ぐんでた。


 そうだ、帰ってもあたしがしっかりハルトを守ってあげればいいわ! あたしが見守ってたら問題無いはずよ。それにハルトに協力して貰えたら……


 帰ったらハルトには出来る事は何だってしてあげよう。まずはでっかい肉ね。

 ハルトは石の壺と薪を一抱え持って家を出る。壺の中は塩だそうだ。さっきフルーツを盛ってた器にしろ今の壺にしろ完全に石で出来ている。あたしは持ち上げるだけでやっとだ。それをまるで普通の木か何かで出来たもののようにハルトは軽々扱っている。筋力251って半端ないわ。

 それにしても、魚を獲りに行くとか言ってたのにその道具はどうするんだろうか?


「ねぇ、ハルト、どうやって魚獲るの?」


「まあ、見ててよ」


 なんか嫌な予感がする。薄々予想は出来る。

 

「じゃ、見ててねー」


 岩場の海にジャブジャブとハルトは入っていく。あたしは腰蓑を押さえる。下着はまだ乾いてないから穿いてない。下からだとめくれたら丸見えだ。


「シャッ!」


 ハルトが海に手を突っ込んだと思ったらその手にはお魚がピチピチしてる。


「すっ、すごいわ。ハルト」


 まじか、手掴みか! ハルトが投げた魚が海に続いて無い潮だまりに入る。


「シャッ! シャッ! シャッ!」


 ハルトが気合いを入れる度に潮だまりに魚が飛んでくる。なんか、悪い夢でも見てるみたい。これって現実なの?


「ハルトッ!」


 あたしはつい叫ぶ。海から大きな蛇が首を出している。あれはシーサーペント! 強力な海の魔物! ここの海にはあんなものが居るの? 終わった。いくらハルトでもあれは無理だ。距離が近すぎる。逃げられ無い。Sクラスの冒険者でも海の中ではあれには勝てない。それがハルトに口を開けて向かってくる。

 

 バッシャーン!


 ハルトが掬った水がサーペントを吹っ飛ばす。そして逃げ出すサーペント。


「は、ハルト、すごいわね……」


「あ、もしかして、今の大ウナギ食べたかった。ゴメン、僕はニョロニョロ系苦手なんだ」


「あ、あたしも苦手だから大丈夫ョ」


 さっきのシーサーペント、めっちゃデカかった。うん、考えるのは止めよう。ハルトがウナギって言うからウナギだったんだろう。


 読んでいただきありがとうございます。


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