第八十四話 罠 (エリ視点)
「アイ、追っかけるわよ」
あたしは、どうやったら穴に入れるか考える。
「アイ、穴の下に立っててお願い」
「ん、穴の下に立てばいいの」
素直にアイは穴の下に立つ。よし、踏み台は出来た。あたしは下がり助走をつける。
「え、あ、あんた、私を踏んづけて飛ぶ積もりね。死ぬわ」
「大丈夫、優しく踏むから」
「その後、思いっきり蹴るんでしょ。メスゴリラに思いっきり踏まれたら私は軽くスルメになるわ。あんたなんでそんなに何でも力尽くでいこうとすんのよ。頭使いなさいよ。頭」
また、メスゴリラ言いやがったな。それなら望み通り踏み台にしてあげるわ。
「分かったわ。頭をつかっていいのね。それは助かるわ」
「あんた、私の頭を踏んづける積もりね。違う違う、物理的にじゃなくて、知恵で乗り切ろうって言ってんのよ」
そう言うと、アイは逃げる。そして、ゴールドを連れてくる。
「ほらほら、ゴールドに梯子になって貰えばいいじゃない。こっちに来なさいよ。あんたのデッサン力じゃ梯子は難しいでしょ。私が手伝うから」
「分かったわ」
あたしはゴールドに梯子になるように命じ、アイに触れてもらって変形させる。まじか、ゴールドが変身出来るのは生き物だけかと思ってたけど、物体もオッケーなのか。これって凄いんじゃない? ゴールド有能過ぎるわ。
ゴールド梯子を穴に引っ掛けて穴を登って行くと、そこは小部屋でハルトとモモが箱をいじっている。あったのね宝箱。
「エリ、アイ、遅いじゃないですか。ほらほら見てみてください宝箱ですよ。エリに開けて貰おうって思って待ってたのですよ」
なーにが待ってたのですよだ。モモ、めっちゃ笑顔。そう言う事か。
「罠がかかってるのね」
「え、なんで分かるのですか? もしかして心を読んだんですか?」
「そんなのみれば分かるわよ」
「エリ、どうも中になんか仕掛けがあるようなんだ。ほら、叩いたらなんか中にあるのが分かるでしょ」
ハルトは宝箱に耳を当ててコツコツする。あたしもやってみる。何も分からんわ。けど、確実になんかあるんだろう。ハルトだから。
「どんな形が私に教えて」
アイがハルトに中にあるものの形状を聞く。
「多分、機械系の罠ね。開けたら何かが起こるわ」
コイツ、ポンコツなのか。罠があるって時点でそれは誰にでも分かるわ。
「誰も罠解除って出来ないよね。罠を作動させて開けるしか無いよね。みんな下がって。僕が開ける」
あたしには未来が見えた。罠は作動するがハルトは何事も無かったのように無傷だろう。モモが笑ってあたしを見る。モモの言いなりになるのは嫌だけど、ステータス的にあたしがやるしかない。あたしは腐ってもプリンセスなのに、なんで罠を漢解除なんかしないといけないのよ。
「あたしがさっき調べた限り、大した罠じゃないわ。ハルト、実はあたし、少しは罠の解除出来るのよ。近くにいたら万が一があるから下がって」
解除は出来るって嘘にはならないはず。漢解除だけど。
「へー、やっぱエリって凄いね。なんでも出来るんだね」
大人しくみんな下がる。うう、ドキドキする。どんな罠なんだろう。少し泣きそう……
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