第八十三話 (エリ視点)
「ありがとう、役立たずな僕を励ましてくれてるんだね。けど、そもそも僕はお嫁にはいけないよ。お嫁さん貰う側になりたいからね」
優しく微笑みながらハルトは言う。やば。可愛い。いいわ。モモはガチなのにハルトはそう思ってない。チャンス!
「そうよね。モモにはいい人が現れるわよ。たとえば天使とか有翼人とか。それ以前にパーティー内ではつき合ったりとかは止めた方がいいわ。トラブルの元よ」
私はゆっくりと諭すように言う。
「うわ、エリ、あんたがそれ言う」
う、アイ、面倒くさいやつが口を挟んできた。
「えっ、と言う事は、エリ、もしかして好きな人がいるの? 僕はないから、え、もしかして、モモが好きなの?」
ハルトが素っ頓狂な事を言う。あたしが好きなのはあんただよと言いたいのに言えない。
「ハルト、何言ってるんですか。私たち女の子同士だし、それ以前にこんな腹黒脳筋メスブタゴリラなんか死んでもムリですよ」
腹黒脳筋メスブタゴリラ……
あたしは生まれてからこんな悪口を言われた事ない。
「モモ、あんた喧嘩売ってるのね! いいわよ。その羽根毟って羽毛布団にしてやるわよ!」
「フフッ。あなたにはこの翼が見えないのかしら。私は大空の覇者。飛べないあなたなんて一方的に蹂躙されるしかないのですよ」
「モモ、あんたここ迷宮よ。天井ギリギリをあんたが飛んだとしても、あたしの攻撃は当たるわ」
「じゃ、外、外にでましょ」
「出る訳ないだろ!」
あたしは、全力でモモに駆け寄る。
「天使印の羽毛布団をつくって売ってるやるわよ!」
「ひっ!」
モモは飛び上がる。天井までは5メートルくらいだから、フルーツで強くなったあたしなら、跳んでモモを捕まえられる。
「あれっ、これ、なんですかねー」
ん、モモは天井をなんかいじってる。
ガコン。
「うひゃあーお」
天井から何か落ちて来て、それをモモはかわす。当たれば良かったのに。天井に四角な穴が空いてる。
「隠し扉ね。こりゃ意地が悪いわ。今まで無かった分の宝箱があるかもね」
アイが落ちて来たものを確認してる。そう、ここの迷宮には宝箱有りなはずなのに一個も無かった。天井に隠し扉? そんなん分からんわ。
「じゃ、みんな行きますよー。私が確認してきます」
モモが天井に空いた穴に向かう。
「あ、まって、僕が先行する」
ハルトはそう言うと、走って跳んで穴の中に消えていく。
んー、かんっぜんに人間辞めてるな。あたしも出来るか試してみるが、穴の縁までしか届かない。
「人間はそんなにジャンプできません」
アイがあたしの横でボソッと言う。
「じゃ、私はハルトと二人っきりで探索してきますねー」
明るい声を出しながらモモも穴に入っていく。クッ、やられたわ……
天井3メートルは、低すぎるので、5メートルに修正しました。
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