第七十九話 決意 (エリ視点)
今日の分ですm(_ _)m
まずい。このままだとまずいわ。なんとか苦しかったけど、ゴーレムはバナナの皮ですべってコケたら弱体化するという苦しい言い訳でなんとかなったけど、このままじゃハルトはいつか自分の強さに気付いてしまう。
まあ、けど、バナナの皮に弱いっていうのはあながち嘘じゃない。ウッドゴーレムやアイアンゴーレムと違ってストーンゴーレムは素材が石だ。転倒しただけで自重でひびが入るはず。うん、間違いない。
さっきまでハルトは気が滅入っていた。多分、オークに対して怯えているのだろう。ハルトに対してオークなんて巨人と赤子くらいに戦闘能力に差がある。それなのに怯えているハルトに自身の強さを教えてあげたいとこだけど、まだ早い。
さっきのおじさんは多分、兄さん、第二王子の部下。なんか昔ちらっと見たような覚えがある。という事は、今、あたしを狙っているのは兄さんだろう。とても不味い。あたしたち兄弟の中で一番お金をもっているのは兄さんだ。さっきおじさんを獲りのがしたから更にお金にものを言わせた刺客が放たれる事だろう。その時にハルトが居なかったらあたしは間違い無く死ぬ。スライム島にもしハルトが居なかったら、あたしはあそこで死んでた。
「じゃ、行くわよ」
あたしは気合いを入れて足を踏み出す。アイからオカリナを取り上げている。オークを発見ししだい、オカリナを吹いてゴールドを呼ぶ。そしてあたしとゴールドとモモでオークを瞬殺する。ハルトには戦わせない。なんだかんだでオークはレベル7くらいの魔物。実戦経験は少ないといえど、レベル20のあたしにとっては鎧袖一触だ。
「エリ、僕が先頭に立つよ。さすがに女の子に守られるのは格好悪いよ。この先にオークが2体いる。倒せるかは分からないけど、僕が引きつけるからエリとモモで隙を見つけて攻撃してくれ」
うわ、ハルトが男の意地を出し始めた。怖いのに勇気を振り絞るハルト。なんかグッとくるけど。ハルトを前衛にしようものなら、豚のミンチが出来るだけだ。ひき肉は傷むのが早い。せっかくのオーク肉が売り物にならなくなる。
「だめ。ハルトはあたしたちになんかあった時に守って。ピーヒャリヒヤリャラー」
もしかしたら空中で出せるかもって思いながらオカリナを吹くと、出来た。パシッとゴールドのコインを掴みモモの肩に手を当てる。
「モモ、ゴールドを変形させて」
あたしが言い終えた時にはゴールドはまたモモの姿になっていた。
「あんたどんだけ自分が好きなのよ」
「いやー、強くて格好いい形にしようと思ったら、私の姿になっちゃいました」
強くも格好良くもないと思うけど、あたしの姿にされたりしたらやだから、何も言わないどこう。
「ゴールドを前衛にあたしとモモがサポートするわ。ハルトはアイを守っててね。もうアイは魔法を使い切ってるから、ただの口が悪い小娘だから」
ハルトは弱者に優しいからしっかりアイを守ってくれるはずだ。アイを仲間にしたのはハルトに守らせようという意図もあったけど、さすがにこれは性格悪いと思われそうだから内緒だ。
「別に私は口は悪くないわよ。思った事を素直に言ってるだけよ」
「それなら、よりたちが悪いわ。口だけじゃなく性格も悪いって事ね」
「それはお互い様でしょ」
うっ、言い返せない。なんか言ったらやぶ蛇になりそうだ。
「冗談よ。はいお喋りは終了。ゴールド、先行して」
「はい、ご主人様」
少し緊張する。せめて王位継承のゴタゴタが終わるまではハルトと一緒に居たい。
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