第七十六話 弱点
すみません。12時に投稿したいんですが、ストックする体力と時間が(T_T)
「ここは僕に任せて、先に行け!」
一度は言ってみたかったセリフを吐く。手にはポートカインと書いた木刀を握り締める。石のゴーレム相手に木刀。まあ、無いよりはマシだろう。自分を犠牲にして死んでいく人たちがなんでそんな事をしているのかぼくには分からなかった。けど、こういう事なんだ。人には自分を捨ててでも守らないいけないた思える事がある。無人島から僕を連れ出してくれたエリ。彼女だけは何があっても守りたい。
「なんだー? ひょろい小僧。お前なんかゴーレムの足止めにすらならんぞ。んー、それ土産物の木刀じゃないのか? 観光客かよ。だがお前が観光に行くのは地獄だがな」
「そんなのやってみないと分かんないだろ!」
「G13、遊んでないでさっさとやっつけろ!」
ゴーレムが腕を振り回すと、ゴールドが風に舞う木の葉のように吹っ飛ばされる。ゴールド、よくやったよ。金貨一枚の重さしかないはずなのに。
ゴーレムは僕の方を見ると突進してくる。速い! 後ろにはみんながいる。僕が受け止めるしかない!
ドグッワッシャーン!
え、何かが飛んで来たかと思ったら、盛大にゴーレムがコケた。しかも頭をしたたかに打ち付けて、ゴーレムだったのか床だったのか分かんない石つぶてが爆ぜる。ゴーレムの足下には黄色いグチャグチャしたもの。バナナの皮、後ろをチラ見するとVサインを出して肩を組んでいるアイとバナーヌ。あ、バナーヌ剥けてた。皮を投げたのか?
「ハルト! チャンスよ!」
エリが声を張る。
「あ、ああ」
僕は木刀を振り上げゴーレムに迫る。
「ダメっ! ハルト! バナナの皮で転んだゴーレムの弱点は素手攻撃よ。躊躇いなくぶん殴って! あと、バナーヌ、ハルトにマイトを!」
「マイトー」
バナーヌの魔法で僕の体に力が漲る。ゴーレムにバナナの皮でコケたら弱くなるっていう限定的な弱点があるなかは疑わしい。だって、誰がそんな事試すんだよ。バナーヌの皮だから1個でゴーレムを転倒させられたけど、普通ならバナナの皮百個は必要なんじゃないか? 誰がそんな実験するんだよ。心の中でツッコみながらも僕は素手でゴーレムに迫る。エリが言うなら胡散臭い事も信じる。バナーヌのマイトがかかった今の僕ならそこそこやれるはず。
ドゴン!
僕は躊躇いなく全力でゴーレムを殴りつける。手が潰れても構わない。けど、痛く無い。ゴーレムは粉々に砕けながら吹っ飛ぶ。マジか。バナナの皮で転んだゴーレムの弱点が素手って本当だったのか……
「良かったー。木刀が無駄にならなかったわ」
エリが何か言ってるけど、気にしないどこう。決して木刀を温存するために僕に素手で殴らせた訳じゃないだろう。
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