第七十話 地下2層へ
「次のフロアでは、あたしたちの精霊の力を試したいと思うわ」
エリが僕の顔を見つめる。今日は仮面をしてないから、その綺麗な顔に一瞬ドキッとする。けど、つい噴き出してしまう。
「何よハルト、何あたしの顔見て笑ってんのよ。知ってるわよ。変な日焼け。けど、ハルトも同じように焼けてるからね」
そうなんだよ。仮面の弊害は日焼けだ。ポートカインの日差しは強い。今は日焼け止めでなんとかなってるけど、僕らが気付いた時には仮面日焼けが出来ていた。まあ、しばらくで目立たなくなると思う。美少女に変な日焼けがあるだけで笑える。意外にエリはしっかりしてるようで抜けてるからね。
僕らは地下2層に行く前の階段で少し休憩してる。エリは地べたに座るのは好まないらしく、シートの上にみんなで座っている。窮屈だ。特にモモの羽根が邪魔だ。たまに当たってこそばゆい。
「けど、精霊出したら、私たちMPすっからかんで魔法使えなくなりますよ」
そう、モモ言うには、モモもアイもオカリナで精霊を呼んだら、魔法を使う余力が無くなるそうだ。マナポーションがあればなんとかなるんだけど、僕らには高価すぎる。
「精霊はあなたたちの半分のMPはあるはずだから一回づつは使えるでしょ」
「私の精霊、いうこと聞かせる自身無いです」
エリにモモが答える。そうだよな。なんかモモの精霊って動物みたいだったもんな。バナナがあれば躾られるんじゃないか?
「じゃ、モモは保留で、バナーヌとゴールドに戦って貰いましょ」
「えー、私のエレガントにも戦って貰いたいです」
「何よ、そのエレガントって。見た目はエレガントだけど、中身はやばかったじゃないの。多分ゴブリンと戦わせたら、一緒にあたし達に襲いかかってくるわよ」
「そうですよねー。まずはコミュニケーション取れるようにならないとですよねー。まあ、それは暇な時にですねー」
僕のエリツーも呼んでみたいけど、なんかエリとエリツーってギスギスしてたからなー。エリツーも暇な時に呼び出して一回エリとしっかり話させた方がいいよな。エリってコミュ力高いから、仲良くなる事だろう。
「あ、そうだ。僕のレアドロップ率アップの検証はどうするの?」
「それについては私が教えてあげるわ」
アイが説明し始める。
「ドロップアイテムの中にはユニークアイテムって言って、この世に1つしか無いものがあるわ。オカリナも多分それよ。だからゴブリンからはオカリナが壊れない限りレアドロップが無いかしにくくなってると思われるわ。あくまでも、私が学園の書物で読んだ内容だけど、かなり信憑性が高い本だから」
そうなのか。ユニークアイテム。初めて聞いた。けど、このオカリナみたいなものがポコポコ落ちるならヤバい事になりそうだもんな。
ピュー。ピロピロピロー。
「またお会い出来て嬉しいです。このバナーヌに何でもお申しつけください」
エレガントな礼をしてバナーヌが現れる。
ピュー、ピラララー。
チャリン。
床に落ちるコインにエリが触れる。膨れ上がって黄金のスライムみたいな形になる。よく見ると手足と顔みたいなものがある。悪夢に出てきそうな形だ。しかもなんかうめき声を上げている。
「しょうが無いですねー」
モモがエリの肩に触れると、金色の軟体動物みたいなのが、みるみるうちにモモの型になる。再現力すげぇ。モモの全身に金粉塗ったくったらこうなるんだろう。
「私の名前はゴールド。何でも任せてください」
金色のモモが喋る。声もモモそのものだ。エリの精霊って何気に凄いんじゃないのか?
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