第六十一話 間接キス
すみません、今、起きました(>_<)
「しょうがないですね」
モモが金色の猫もどきを抱える。うわ、うにょーんって足が伸びてる。もはや猫要素が皆無だ。
「エリ、私はこれいじれないんですか?」
「うーん、分かんないわ」
エリとモモは色々試してみて、エリと手を繋いだら、モモもエリの精霊を操作出来る事が解った。
「ほーら、ねこちゃんですよー」
「ニャーン」
モモが抱っこしてる金色の猫が鳴く。あーでもないこーでもないとモモはこだわって、まごう事なき猫がいる。全身金色の。エリの精霊は猫もどきの時は鳴かなかったのに、猫になったらし鳴き始めた。もしかして、人型にしたら喋るのかもしれない。けど、全身金色の人はちょっと無気味だな。
「大体の能力は分かったわ。送還」
「ニャーン」
モモの精霊は一声鳴くと縮んで一枚の金貨が残った。
「……偽金」
アイがボソリと呟く。
「なによ、なんか文句あるの? 迷宮産って言えば問題ないはずよ。オカリナだって元々は迷宮産のようなものでしょ」
エリの言葉は強引だけど、形はどうあれ、金の含有率と重さが金貨なら問題ないはずだ。
「まだ、あと一回使えるから次はハルトの番ね」
エリの言葉にいつの間にかオカリナを手にしていたアイが差し出す。僕はオカリナを受け取る。
「正直、どんな精霊が出てくるのかと思うと恐ろしいわ。けど、無いとは思うけど、試しとかないと、モモやアイみたいな役に立たないのだったら困るから。ハルト吹いてみて」
「バナーヌはモモのと違って有能よ」
「見た目は私の精霊の方が百倍いいです」
アイとモモが言い争ってる。有能な彼女たちの精霊ですら、微妙だった。という事は僕が呼び出すのは全くの無能な可能性が高いな。
その前に、これはピンチだどうしよう。このオカリナをさっき吹いたのはエリだ。こ汚いオカリナを僕はじっと見つめる。オカリナの口を拭ったらエリが気を悪くするかもしれない。けど、間違いなくこの吹き口をエリが口にした訳で、間違いなくエリの唾液がついている。エリの唾液。その言葉だけで僕の鼓動が早くなる。だってエリだよ。見た目抜群の誰が見ても超絶美少女。その唾液……
いかん、あまり時間をかけると、なんか気にしてるみたいで格好悪い。よし、ガブッといっちゃる。たかがエリの唾液。
エリの唾液!!
僕は出来るだけ平静を装いながらオカリナを口にする。なんか穴があるけどわかんないや。
「ぴーっ!」
甲高い音がする。これって間接キスってやつだよね。僕の頭の中はエリがいっぱいだ。あ、そうだ精霊出るんだな。
カラフルな光の粒子がキラキラと輝く。まるで虹みたいだ。そう言えば、ダンジョンで見つかる宝箱でめっちゃくちゃレアなのは虹色してるって聞いた事がある。もしかして、めっちゃレアな精霊? ワクワクしてきた。
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