第五十九話 守護天使?
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そして、光が形となり現れたのは天使。ゆったり目のワンピースに背中には真っ白な翼。大きな目に整った顔。モモに瓜二つの天使だ。けど、なんか本物と偽物って感じで召喚された方は若干表情に締まりがないように見える。
「ほらほら、見てください。この私の精霊の神々しさ。まるで神話のワンシーンみたいでしょ」
モモが現れた天使と肩を組む。確かにまるで神話みたいだと僕も感じた。
「それがモモの大好きなものなのね。自分好きすぎでしょ。キモ。あんた、名前もモモじゃなくてキモに変えたら?」
アイがモモを挑発する。
「いいじゃないですか。私は私が大大大好きです。可愛いし、スタイル抜群だし、回復魔法を使えるし、空を飛べるし」
うわ、モモ言いきったよ。
「だって、みなさんもそうでしょ。まあ、アイは自分よりバナナの方が好きみたいですけどね」
「なっ、何言ってるのよ。普通好きなもので自分は別枠でしょ。それで、あんたの精霊は何が出来るのよ? エリ、早く鑑定してよ」
アイの言葉にエリはやれやれポーズで答える。もう鑑定済みって事だよね。やれやれなのか?
「ちょっ、あなた何してるんですか? やめてくださいよ」
モモの精霊はだらしない格好でお尻を掻いている。それを止めようとするモモの手からこぼれたオカリナをアイが即座にキャッチする。
「もしかして、言葉が通じないんですか?」
精霊は首を傾げる。そして鼻をくんくんすると、部屋の隅に置いてたバナーヌの抜け殻に目を向け駆け寄り、掴んで貪り始める。バナナの皮食ってる人初めて見た。ウンコ座りでなんか猿みてー。
「なにバナナの皮なんか食べてるんですかー? バナナの皮には麻薬成分が入ってるんですよ!」
モモは精霊をバナナの皮から引き剥がす。
「大丈夫よ、バナナの皮が麻薬になるっていうのは都市伝説だから。美味しくないタバコが作れるくらいで、安全に食べられるわ」
エリが突っ込む。その話は聞いた事がある。麻薬は嘘でも牢屋じゃバナナでタバコを作ろうとする人が居るから、バナナは食事で出ないって噂も聞いた事がある。
「えっ、バナナの皮って食べられるの?」
アイが食いついてくる。どんだけバナナ好きなんだ? 食べられるって聞いても僕は遠慮する。なんかニュルニュルしてそうだから。
「ワシ、暑い。邪魔、服」
精霊はそう言うと服を脱ぎ始める。どうやら人語は解するようだけど、一人称が『ワシ』?
「ちょっと、待ってください。脱がない。脱いじゃダメです」
あらよあらよと精霊は下着だけになる。僕らは呆気に取られて見てる。ヤバいブラジャー姿の精霊。ブツがデカ過ぎる!!
「強制送還!」
モモの言葉で精霊は消える。
「ふぅ、時間が来なくても消せるみたいですね。危ない危ない。あと少しで全部脱がれるとこでした」
むぅ、残念。未知の怪物を目にして見たかったな。
「ねぇ、エリ、私の精霊って何が出来たんですか?」
モモの言葉にエリは目を逸らす。間違いなく笑いを堪えている。
「やっぱり何も出来ないんですね。どんなに考えても使い途が思い浮かばないです。強いて言えば身代わり? いや、無いですね。多分身代わりにしたら裸で踊り出しそうです」
うん、戦闘で身代わりにはつかえそうだな。けど、多分それをしたらモモの悪評が立つ未来しか見えない。露出狂天使とか。
「……ラブドール」
ぼそりとアイが呟く。けど、誰もリアクションしない。聞かなかった事にしたみたいだ。
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