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 第五十七話 バナーヌ (後)


「もしよろしければ、マジックミサイルを試し打ちしてみてもよろしいでしょうか? 威力は最低にしますので、白いエネルギーが弾けるだけです」


 バナーヌがイケボで言う。僕も歳を取ったらこういう声になりたい。

 けど、言ってる内容がなんかもやっとする。剥いたバナナの先っぽから、白いミサイルが出て弾ける?


 エリが満面の笑みでバナーヌに話しかける。やっぱアウトか?


「ちょっと、バナーヌ。マジックミサイルは未来永劫金輪際禁止。もし出したら潰す。握りつぶす!」


 うわ、エリの目が笑ってない。なんか僕の下半身からゾワゾワって悪寒が走る。


「承知いたしました。私の唯一の攻撃手段なのですがお嬢様がそうおっしゃるのなら致し方ありますまい。それではそろそろ私をお召し上がりください。あまり時間が経つと黒くなりますので。まあ、それが好きとおっしゃられる方もいらっしゃいますが」


 なんかバナナの黒いとこってより甘い気がするけど、僕は白くて普通に食感がある方が好きだ。


「分かったわ。私、子供の頃から夢だったの。大っきなバナナ食べるのが」


 アイは賢く無さそうなセリフを吐くと、バナーヌを剥き始める。モモも嬉しそうに手伝う。


「せーので行くわよ」


「分かりましたっ」


 どうやら、アイもモモもそのままバナーヌに噛みつきそうだ。顔、ドロドロになるんじゃないか?


「ちょっとアンタたち、そんな人の言葉を話すバナナ、食べるのに抵抗無いの?」


 エリが声を上げる。うん、僕もその点で、すこし、バナーヌを食べるのに抵抗がある。


「ホラホラ、例えば、喋る牛とか居たら食べるの躊躇うでしょ?」


 エリは二人に問いかける。


「いえ、私は気にせず食べますね。牛ですから」


 うーん。モモは少しサイコパスなのか?


「喋る牛? そんなの居る訳ないでしょ? エリってそういうメルヘン好きなの? メルヘンって言うよりメンヘラっぽいけど」


 アイって童顔なのに毒舌だなぁ。


「メンヘラちゃうわ。あーもういいわ。実はあたしもそれ食べたくてしょうが無いの。けど、丸かじりははしたないから、お皿借りてくるから待ってて」


 そうだね。エリはフルーツ大好きだもんな。そして、僕らはバナーヌを輪切りにして皿に乗っけて食べた。デカいから大味かもと思ったけど、普通のバナナだった。強いて言えば甘めの。一人ニキロくらい食べたんじゃないだろうか? それでも食べきれなかったので、余ったのは宿の食堂にあげた。


「それではまたのご召喚を楽しみにお待ちしております」


 最後にバナーヌは皮だけで立ち上がり僕らにエレガントな一礼すると、手足が消えて皮だけが残った。多分みんなバナナに満足と言うより食傷気味だから、次までは長い事だろう。あと、この皮、どうしよう? 道に捨ててたら馬車もスリップするんじゃないか? 巨人の足元とかに置いても面白そうだ。



 読んでいただきありがとうございます。


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