第五十四話 召喚のオカリナ
すみません、遅くなりまして。ストック0のスクラッチライフです(>_<)
「それでは、今からエリが闇に葬ろうとした魔道具の試運転を始めます」
アイがオカリナを掲げている。僕らはアイの借りた部屋にいる。僕、エリ、モモはベッドに腰掛けて、アイはテーブル付きの椅子に腰掛けている。エリ言うには今日は結構稼げたそうで、僕らは贅沢して宿は個室だ。
「闇に葬ろうしたって人聞き悪いわね。それは危険よ。破棄したがいいわ」
エリがアイを睨む。それより、僕とエリの距離が近い。部屋狭いのに四人はぎゅうぎゅうだ。
「エリ、それは使う人次第でしょ。小さなナイフでもやろうと思ったら人を殺せるでしょ。けど、ナイフなんてどんな家にでもある。それと一緒よ。だから、使ってみて危険だったら売ればいいでしょ」
アイが言うとおりだと思う。なんでエリは壊そうとしたんだろう?
「まあ、そりゃそうだけど。だけど、売ったらまずいんだって」
エリはそう言うが、売ったらまずい?
「何がまずいの?」
アイが代わりに聞いてくれる。
「どうしてゴブリンの巣穴にこんなもんがあったのかがよ」
アイはオカリナに鼻を近づける。そして口を開く。
「これ、多分未使用ね。ゴブリンが使ったら多分臭くなるから。という事はドロップアイテムよね。ドロップアイテムって事は、ゴブリンは迷宮産って事。んー、明晰な私の頭脳でもどういう事なのか分かんないわ」
アイの頭脳は明晰なのか? 今のとこそう感じた事無いような?
エリがヤレヤレポーズして口を開く。
「要は、あの洞窟がダンジョンでまだ奥に何かあるか、誰かがゴブリンをあそこに召喚したって事。そういう面倒くさそうな事に今は関わりたく無いわ。それに、ゴブリンからこんなものがドロップするって言うのも異常。ハルトのスキルのお陰だけど、この情報が漏れたら、間違いなくハルトを誰かが囲おうとするわ」
まじか、このオカリナ、そんなに珍しいものなのか。ぱっと見子供のオモチャみたいなのに。汚いし。なんかエリは僕のスキルを過大評価してるけど、こんな感じでたまに変なものがドロップするだけだ。囲おうとする物好きがいるのなら囲われたいものだ。衣食住には困らないはず。
「それはダメです!」
エリの隣に座ってたモモが僕の隣にやって来て座る。当たってる当たってる羽根が。
「ハルトを囲うのは私です」
がばぁっとモモが抱き着いてくる。当たってる当たってるメロンが2つ。おおーっ。島から脱出出来てよかった。
「何どさくさに紛れてエロセクハラしてんのよ」
エリがモモを僕から引き剥がしてベッドに押し倒す。
「だって、ハルト、可愛いじゃないですか」
「確かに可愛いけど、ダメなものはダメ。約束したでしょ」
んー、可愛いのか? なんか何とも言えない気分になる。約束って何だ?
「じゃハルト、吹くわよ。ピー、プク、ピョーッ♪」
アイがオカリナを吹く。よく躊躇い無くそんな汚いもの口に入れたな。気が抜ける音がして、目の前に黄色いもやが立ち上る。なんか臭そうなもやだ。毒ガスみたいだ。まじか、この汚いオカリナ、本物の魔道具なのか?
「うわ、きっつー。MPまるっともってかれたわ」
アイは机に突っ伏す。そして、もやが集まり人型を作り始める。
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