第五十二話 戦利品 1 (エリ視点)
あたしの目の前には今回のゴブリン討伐の戦利品がある……
それにしても相変わらずハルトは規格外だ。ゴブリンは雑魚しか居なかったとかハルトは言ってたけど、検めたらホブゴブリンが五体と、あまつさえキングもいやがった。正直どうしようかと思う。こりゃどうしても目立つ。キングの耳だけバレないように捨てようかと思ったくらいだ。けど、お金は欲しいから我慢した。まあ、なんとかなるでしょ。そんな事より、問題が……
オカリナ!
オカリナがある!!
ドロップアイテムでオカリナと言えばアレしかない。
『召喚のオカリナ』
土っぽい謎物質で出来たオカリナで、吹くと魔物や精霊とかを呼ぶ事が出来ると言う。本物だったらどれくらいの価値があるか分からない。心を落ち着けて詳細鑑定してみる。
『奏でた者の言う事を聞く精霊サーバントを召喚する。そのステータスは主人のステータスの半分を有する。召喚時間は1時間。使用回数は1日4回。6時間おきに回数が回復する』
「げっ、なにこれ。ヤバっ」
つい、声が出てしまう。これはアカンやつだ。絶対にハルトに使わせちゃダメなやつだ。半分のステータス? 化け物が生まれるわ。また厄介なものを……
ハルトのレアドロップ率アップのスキルによるものだと思うけど。まじこれどうしよう。埋めるか?
「ねぇ、エリさん。その汚いオカリナ。貰っていい? 私こう見えてオカリナが好きなのよ」
げっ、アイという魔法使いがギラギラした目でオカリナを見ている。こいつこれが何か知ってるな。魔法使いは魔道具オタクが多いって聞いた事があるし。あー、これで埋めるという選択肢が無くなった。間違いなく掘り起こされる。
「あんた、知ってて言ってるでしょ」
「へー、じゃ、エリさんも知ってるのね。で、それどうするの? 売って美味しい焼き肉でも奢ってよ」
この娘馴れ馴れしいな。けど、この娘のマイトは役立つ。上手く使ったらハルトのステータスを誤魔化せる。
「あんたねー。これ、そう簡単に売れる性能じゃないわよ」
「ん、何で分かるの?」
「あたし、鑑定持ちなのよ」
「ええーっ。まじー。すご。で、鑑定持ちなのに、なんでエリさん冒険者なんかしてるの?」
「ま、色々とね。それは、後で話すわ。で、これどうするかよね」
ゴブリンから剥ぎ取ったガラクタの横に置いてるオカリナを見る。私は自分にも言い聞かせるように口を開く。
「多分このオカリナは不幸を呼ぶわ。勿体ないけど……」
あたしは足を上げ思いっきりオカリナを踏もうとする。壊すしか無い。うう、勿体なさで正視できなく目を瞑る。
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