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 第四十八話 初討伐 8 (アイ目線)


「メリー、本当に大丈夫なの?」


 私は松明持ってない方の手でメリーの襟を掴んで胸元をあける。服には幾つもの穴が開いてるけど、メリーの肌は綺麗なもんだ。首筋に手をあてると確かに脈打ってる。


「もーっ。アイちゃん何するんですか。恥ずかしいじゃないですか」


 メリーは胸元を閉じる。そう言えばメリーは血塗れだったのに、明らかに血が減ってる。


「それにしても、素晴らしいヒールですねー。凄いヒールって血も戻ってくんですねー」


 のほほんとメリーは言ってるけどそんな話は聞いた事もない。まあ、けど、メリーが生きてるならいい。あとはアレク。


「メリー、先に戻ってて、私はアレクの遺品を取ってくるわ」


「私も行きますよ。せめて祈らさせてください」


「んー、僕は二人守りながら戦える自信は無いなー。この先にゴブリンが12匹いる。出来れば二人共ここで待っててほしい」


「え、そんなにゴブリン居るの? なんで数がわかるの?」


「今やってみて気付いたんだけど、よーく耳を澄まして。ほら、呼吸する音が聞こえるでしょ。君らの仲間もまだ生きてるよ多分床で擦れるような呼吸音がそれじゃないかな」


 んー、何も聞こえないけど?


「灯りはどうするの?」


「僕は耳がいいから、音を頼りに頑張ってみるよ。真っ暗だったら、奇襲できるはずだ」


 言うなりハルトは駆け出した。ダメだこの人。素人だ。何も知らない。ゴブリンは暗視能力があるから、奇襲されるのはハルトの方だ。私達みたいに弓と石つぶてでやられる事だろう。


「メリー、逃げよう。応援を呼びに行こう」


「そうね。暗闇でゴブリンに勝てる訳ないわね」


「大丈夫? 肩貸そっか?」


「んーん、もう歩けるわ」


 私たちは、洞窟を戻ろうとする。


「ちょっと、まだ帰らないでよ。手伝ってよ」


 ハルトが戻って来た? やっぱり怖じ気づいたのね。バケツヘルムがボコボコになってる。多分石つぶてを浴びたんだろう。怪我してると思うけど、歩けてるなら重畳だ。


「無事なのね。良かった。急いで応援呼びにいきましょう」


「大丈夫だよ。僕の仲間もいるし。それより、君らの仲間の男をどうにかしてよ」


「どういう事?」


「ゴブリン倒して、ヒールかけたんだけど、なんか歩けないらしくて。僕は男は触りたくないよ。しかもなんて言うか、色々漏らしてるし」


「えっ、嘘でしょ。ゴブリン倒した?」


 ハルトが行って3分も経ってない。


「ほら音しないでしょ」


 そんな音とか聞こえんし。


「アイちゃん、行ってみましょう。もしかしたらもしかしたらよ」


 メリーの顔が明るくなってる。そう言えばメリーってアレクの事が好きっぽかったし。

 ハルトについて奥に進む。広間に出て、松明を掲げる。まじか。ゴブリン全滅してる。激しく血を流してるのは一匹も居ない。多分木刀の一撃で撲殺されている。ゲッ。ホブゴブリンが1、2、3、4。玉座に王冠被ったキングが死んでる。間違いない。ゴブリンの一団じゃなく、ゴブリンの一軍。こんなの国の中枢には存在しないはずのもの。明らかに何らかの陰謀によるもの。

 けど、それより恐ろしいのは、このハルト。


「奇襲が成功したから楽勝だったよ」


 私が見てるのに気付いて、素っ頓狂な事言ってる。奇襲でゴブリンキングはやれる訳ねーだろ。



 読んでいただきありがとうございます。


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