第四十七話 初討伐 7 (アイ目線)
風邪で熱で立ち上がれませぬ(>_<)
「大丈夫? 怪我は無い?」
騎士様の差し出した手を握って立ち上がる。
「はい、問題無いです」
松明の灯りに照らされた騎士様を見る。え、騎士様なの? 頭に被ってるのはバケツヘルム。無いよりはあった方が良いって代物。安っぽい皮の鎧に手にしている剣はどう見ても木製にしか見えない。
「松明持って貰っていいかなー?」
声から男、男の子かもしれない。彼は松明の炎部分を掴むと、私に柄を向ける。
「は、はい」
ん、火傷しないんだろうか? そういうスキル持ち?
「あのー、ホブゴブリンはどうしたんでしょうか?」
座ってピクリともしないホブゴブリンを指差す。
「ほらほら、よく劇とかで後頭部叩いたら敵が気絶とかするじゃん、それ、試してみたんだ」
え、もしかしてバックスタッブからのクリティカル? ラッキーヒットで倒しただけなんじゃ? 頭に不安が過る。けど、ゴブリン二匹を容易く倒してるから強いはず。彼は強いはず。
「私はアイ。あなたの名前は?」
「ハルトだよ。アイは魔道士でしょ。なんかあったら魔法使ってね」
「私の仲間が居たの。探すの手伝って」
「武闘家の女の子は保護したよ。他にもいるの?」
保護って言っても、バーバラは生き延びれる怪我じゃなかった。気をつかってくれてるんだろう。
「あと二人居たわ。早く助けたい」
「そっか、じゃ急がないとね」
「私が先導するわ。着いてきて」
本当は逃げ出すのが正解だろう。けど、メリーは私を助けてくれた。もう手遅れかもしれないけど、せめて遺体の埋葬くらいしたい。バーバラのものと思われる血だまりがある分岐路を通って奥に進む。
「この先に部屋があってそこで仲間はやられたの。あ、メリー」
壁際で血の池の中、ゴブリンに覆い被さられてるメリー。ゴブリンは動かない。護身用のナイフで首を刺し貫かれてる。彼女のお陰で私はのうのうと生きている。開いて空を見据えている彼女の目を閉じる。私は目から溢れるもので、前が見えなくなる。
「ヒール」
バケツヘルムさん、ハルト君は優しいな。亡くなったばかりの遺体にヒールをかけると傷が消える事もある。ゴブリンが抵抗したんだろう。メリーの顔には引っかき傷があって酷いものだ。みるみるとメリーの傷が消えて。消えて、消えて? あ、目が開いた? え?
「あ、アンデッド!」
私は跳びすさる。死体が動くはずは無い。動く死体はアンデッドだ。
「なーに言ってるんですかアイさんは。助かりました。素晴らしいヒールですねー」
「いや、そんな事ないですよ。あなたの生きようとする力が強かっただけですよ」
え、コイツら何言ってるんだろう。間違いなくメリーは死体だった。冷たかったし息してなかったよ?
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。