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 第四十六話 初討伐 6 (アイ目線)


「ちっ、逃げられちまった」


「あたしは一発殴ったわよ」


 アレクとバーバラが近づくと、起きてたゴブリンは一目散に逃げ、寝てた奴もバーバラに殴られて洞窟に逃げ込んだ。

 二人の荷物を持ってきて、全員の戦いに不要な荷物を木陰に隠す。そして、私の着火の魔法で松明に火をつけて、魔法の残数確認をする。私が2回、メリーは1回。


「よっしゃー。行くぜ」


 隊列はアレク、バーバラ、私、メリー。松明は私が持って洞窟に足を踏み入れる。


「分かれ道か。右に進もう。バックアタックされてもいいようにアイとメリーは距離を詰めろ。何かあったらバーバラがしんがりに」


 テキパキとアレクは指示を出す。けど、よく考えたらここで引き返すべきだったと思う。私たちは先に進む。そして、急に洞窟は広くなった。


「おら、ゴブリン共、かかって来い! グワッ!」


 前のアレクがいきなりしゃがみ込む。


「くそっ。弓か」


 えっ、ゴブリンって弓使うの?


「グッ。あんたたち卑怯よ。近くで戦いなさい!」


 バーバラが叫ぶ。弓矢の次は石つぶてが飛んでくる。前衛二人のお陰で私には当たってない。けど、二人には数発ヒットする。皮の鎧を着ているアレクはともかく、丈夫な服のバーバラはヤバいんじゃないだろうか? ゴブリンは暗い所でも目が見えるけど、私たちはそうじゃない。松明を消すべきか? いや、そしたら全く見えなくなる。


「逃げるわよ!」


 私は叫ぶ。


「俺は足に矢が……」


 アレクは藻掻いてるけど立ち上がれない。


「あたしの目が……目が……」


 バーバラは顔を押さえてうずくまってる。


 ドサッ。


 後ろで何かが倒れるような音。


「ギャーーーッ」


 メリーが叫ぶ。倒れた彼女の上にはゴブリンがのしかかっている。その手の武器でメリーが滅多刺しにされている。


「逃げろっ! グガッ」


 アレクが叫ぶ。倒れたアレクに数匹のゴブリンが群がってる。私は訳が分からずに、バーバラの手を取って逃げ始める。メリーを刺してるゴブリンがこっちを向く。


「に、逃げて……」


 メリーがゴブリンを抱きしめる。その横を私とバーバラは駆け抜ける。ごめんなさい。

 元来た道を走る。


「アレク……メリー……」


 バーバラが呟く。一瞬だった。一瞬でパーティーは瓦解した。何も出来なかった。

 分かれ道のとこに着く。けど、出口の方からデカいゴブリンがこっちに向かって歩いて来ている。ホブゴブリンだ。


「あいつをどうにかするしか無いみたいね」


 バーバラは前に出る。そしてホブゴブリンの巨体を思いっきり蹴る。けど、ホブゴブリンは全く動かない。バーバラの足を掴んだと思ったら、そのまま壁に叩きつけた。気がついたら私は走り始めていた。まだ行って無かった方の道を。しばらく走ると、突き当たって部屋。私はその隅で縮こまる事しか出来なかった。もう無理。何も出来ない。しばらくすると、遠くから足音がしてきた。


 ズッ。ズッ。ズッ。


 引きずるような音。ホブゴブリンだろう。ケケケケッと笑い声みたいなのも聞こえる。部屋に入って来たのはホブゴブリンとゴブリンが二匹。ゴブリンが私に飛びかかってくる。松明を振って近づいて来ないようにするが、奴らには全く当たらない。後ろでホブゴブリンがニヤニヤ見てる。


「キャッ」


 松明をむしり取られて、私の腹に激痛が……蹴り飛ばされた。そしてゴブリンが私に馬乗りになる。


「グゲゲゲゲゲッ!」


 錆びた小剣が振り上げられる。あ、終わった。私は目を閉じる。私の体が軽くなる。え、ゴブリンは?


 ガンッ!


「ゲギョッ!」


 目をあけると、ゴブリンが吹っ飛ばされていた。壁に当たって動かなくなる。もう一匹のゴブリンは寝転がってて、ホブゴブリンは座っている。そして、私の目の前には、剣を手にした騎士がいる。逆光で細部は見えないけど、多分王子様みたいな騎士に違いない。


「あなた様は?」


「ん、冒険者だよ」


 そんなの見れば分かるわ。知りたいのはお名前なのに。天然なのかしら?

 


 読んでいただきありがとうございます。


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