第三十九話 回復魔法2 (モモ視点)
お待たせしました。やっと書き上がりました。風邪と仕事で精根尽き果ててまして(>_<)
「さすがハルト、筋がいいですね」
私は資材に座ってハルトの練習を見ている。ギルドのそばの空き地。ハルトが言うには、人は来ないけど治安は悪くないそうだ。そこで魔法を教えている。
やっぱりエリが言った通り、ハルトの知力と魔力は凄まじいんだろう。軽く魔力の流し方と変換の仕方のコツを教えただけで、ヒールの魔法を発動させてしまった。回復対象が無いから断定は出来ないけど、あの白い光は間違いなくヒールの魔法だ。しかも光り方から絶対私のより効果が高い。正直、少し、いやかなり凹む。1年でヒールを習得して村では神童とか聖女の再来とか言われて持ち上げられてたのが虚しくなる。
「んー、なんかいまいち感覚が掴めないなー。モモ、実際にやって見せてよ」
「私は、あんまり回数使えないですから、そうですね、神殿に行きますか?」
回数使えないって見栄張ったけど、実は私はヒールを1回しか使えない。まあ、神官としては駆け出しだから当然のことだけど。さっきから練習とは言え、バカスカとヒールを発動してるハルトがおかしいんだ。けど、さすがにハルトでもあと数回しかヒールは使えないはず。貴重な回復魔法を無駄使いするのは勿体なさ過ぎるから、少しでも人の役に立って貰おう。私はハルトを引っ張って神殿に向かう。
馴染みの司祭さんに許可を取って、ハルトには予備の神官衣を着させて治療室へと向かう。怪しい仮面の神官が誕生した。神殿ではお布施の4割を神殿が取って、6割が回復術士のものになる。1回のヒールの相場が5000ゴールドだから、私には3000ゴールド残る。私は1回しか使えないから、それだけじゃ生活が苦しいから、エリの誘いに乗って冒険者になる事にした。
最初の患者が来る。大工さんで、転んで利き手を捻挫したそうだ。捻挫くらいでヒールは勿体ないと思うけど、大工さんには仕事があるからしょうが無いんだろう。お布施を受け取り私はヒールをかける。白い光はみるみると腫れた手首を元通りに治癒させた。大工さんは喜んで帰って行った。私の仕事はこれで終わりだ。
「ありがとう、モモ。今のを見て、多分コツは掴めたよ。僕のような素人が役に立つか分かんないけど、次の人はやってみるよ」
ハルトは拳を握り締める。なんか健気だわ。なでなでしてあげたくなる。
「先生! 次の方が駄目でもいいからヒールをかけて欲しいそうです」
神官の見習いが連れて来たのは子供を抱えた涙で顔がぐちゃぐちゃになった母親。入るなり診察台に子供を乗せて土下座して、話し始める。
「子供が、子供が馬車に轢かれてしまいまして。私にはこれだけしかお金が無いんです。お願いです。お願いだから魔法をかけてください」
出したお金は3000ゴールド。足りない。お布施の金額はあくまでも善意と言う事で決まってないが、神殿では厳しく相場より低い金額では治療しないように言われている。廉価で魔法を使うと神殿の経営自体が圧迫され、ただでさえ少ない回復術士のなり手が減る恐れがあるからだ。
「これで問題ないだろ」
私が一瞬躊躇ってる間にハルトが母親の3000ゴールドの上に2000ゴールド乗せる。ノータイムで。ハルトはお金をあんまり持ってないのに……
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