第三十八話 回復魔法1 (モモ視点)
なんとかかんとか終わりました^_^;
「お疲れさまでした」
私は試験官と熾烈な打ち合いをしたエリを出迎える。良い勝負に見えたけど、多分エリは力を抜いていた。彼女の腕力はかなり強い。それを一般女性にしては強いくらいの力で戦ってたように見える。
「ふぅ、疲れたわ。ギルドの食堂でなんか飲みましょう」
疲れた? 演技だろう。汗一つかいてない。
「じゃ、認証票交換したら、今日はゆっくりしよう」
ん、せっかちなハルトだから、すぐに冒険に出ようって言い出すと思ってたのに。
それにしてもハルトは凄かった。試験官のまるで嵐のような大剣での攻撃をまるで風に浮かぶ綿毛のようにかわし続けてた。練習用の耐久性高めに作られた大剣をへし折り、あまつさえ、指弾で一撃で試験官を倒した。多分、試験官は上位クラスの冒険者。ハルトの実力に気付いたようだ。これって今後面倒くさい事になるんじゃないだろうか?
ハルトとエリはFクラスの皮の認証票を受付で貰う。ハルトはかなり嬉しそうだ。けど、私の見立てではハルトの実力的には控え目に見てもBクラス、実質の最高クラスのAにも届いてるんじゃないだろうか? その化け物が下から二番目の皮の認証票で喜んでるのは違和感しか無い。
ギルドのバーでソフトドリンクを買って円卓で今日の予定を話すことになった。
「じゃ、あたしは色々買い物してから帰るから、モモ、くれぐれもハルトから目を離さないようにね!」
エリは私の目をしっかりと見つめる。うん、分かった。私は深く肯く。ハルトが暴走しないようにしっかり見とこう。
「エリは心配性だなぁ。僕はこの街は長いんだ。からまれないようにするのは得意だよ」
からまれないようにじゃなくて、オメーがからまないようにだよ! いかんいかん、言葉が喉元まで出かけた。
「そう、じゃくれぐれも目立つ事はしないようにね」
「はい、了解です」
「うん、目立たないようにするよ」
エリは私の肩を叩いて外へと歩いていく。エリがハルトを買い物に連れて行かないのは、ハルトはめっちゃ買い物に時間がかかるからだ。貧乏性というか、一つの物を買うにしても、何軒か回って一番安くて良い物を買う。悪い事じゃないけど、つき合う私たちはたまったもんじゃない。女の買い物は長いって良く言われるけど、ハルトはそれより長い。しかも店から店の移動はダッシュだ。死んでしまう。
「ねぇ、モモ、教えてよ」
あ、ハルトがさっきから何か言ってたけど、ハルトの買い物の事考えて聞いてなかった。何を教えて欲しいのかは聞いてなかったけど、私は常にジャスティス。人に教えられないような事は無い。
「いいですよ。で、何を教えて欲しいのですか?」
「うっ、聞いてなかったのかよ。でもオッケーって言ったから教えて貰うよ。魔法、魔法だよ。エリは生活魔法教えてくれるって言ってるんだけど、なんかいつもうやむやになるんだ」
ん、なんで教えないんだろ。ハルトのステータスがエリが言う通りなら、魔法なんて簡単に覚えるはず。なんか引っかかるけど、大した事じゃないだろう。
「いいですよ。私が使えるのは初歩の回復魔法。それでも回復魔法は覚えるのは難しいですよ。資質があるって言われた私でさえ、1年近くかかってますから」
「えっ、いいの? 頑張るから。よろしくね」
まるで子供みたいにハルトが笑う。けど、エリはともかくとして、ハルトのその仮面はなんか意味あるのだろうか?
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