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 第二十五話 邂逅


「おい、ハルト! ハルト!」


 かんに触る胴間声。ジェイルだ。僕は聞かなかった事にして受付を目指す。怒りで頭の中が真っ赤になりそうだけど、ここは我慢だ。


「おいっ。無視すんなよ」


 ジェイルは近づいて来ると、僕の肩に手をかけてくる。


「あの、人違いじゃないですか? 私の名前はハリー。ハリー・ペッターです」


 なんか、超有名な本の主人公のバッタ物のような名前を言ってしまったけど、偽名だからいいだろう。咄嗟だからこれくらいしか思いつかなかった。あと、一人称が僕だとモロばれだから私に変えてみた。


「プッ。それ偽名だろ。ハルトのくせに面白い事いうなー。だがよ、変な仮面してても分かるわ。おめーはハルト、ハルトだろ。で、こんなとこで何してんだ?」


 こいつは前からそうだ。人の言う事を聞かない。あと、笑いのツボがかなり低レベルだ。要はガキだ。それに何してるは無いだろ。自分のした事を忘れたのか?

 他の3人もいつの間にか僕を囲んでいる。全員、1年前に比べると明らかに装備の質が良くなっている。あれから1年、様々な冒険を繰り返しレベルアップもしてる事だろう。見せびらかすようにジェイルの首からかけられた冒険者認証票は銀色に輝いている。Bランク! 凄い1年でそこまで上げるなんて……強い、間違い無く強い。Bランクの冒険者がいるパーティーなんてこの街では一握りだ。僕なんか逆立ちしても敵わないだろう。けど、関係ない。やられてもいい。こいつらだけは許せない!

 考える事一瞬。エリがジェイルの手を払いのける。


「なんだオメー。オメーも変な仮面しやがって。あ、アレだな。ヤッホーマンだな。オメーら、そんな歳になってまでごっこ遊びかよ。仮面に隠した正義の心でも見せてくれるのかー?」


 ヤッホーマン。子供向けの舞台のヒーローだ。そういえば、僕らの仮面はその仮面に似てる。


「あんた、何様のつもり? あ、もしかしてハリーが言ってた最低ヤローね。いいわよ、ハリー、軽くやっつけちゃいなさい」


 なんと、エリから戦っていいと許可が出た。けど、残念な事に軽くやっつけられるのは僕だろう。僕はレベル5、アイツらはシルバーランクだから、軽くレベルは20は越えてるだろう。エリでも熟練の冒険者のこの人数相手には勝てない。無理だ。

 僕だけだったら、コイツをぶん殴ってから、ボコボコにされて晒し者にされるのは構わない。けど、そうだ、エリが居るんだ。コイツらはエリに何するか分からない。冒険者同士の争いにはギルドは非干渉だ。あとこの街では力が全て。悪くても強い奴が言う事が正義になる。


「すまない。私が悪かった」


 僕は頭を下げる。その僕に下から覗き込むように見上げてくる奴がいる。剃り上がった頭に髭面の巨漢、バートンだ。


「ハルトのくせにかっこつけて。何が私だよ。いつも通りぼくちゃんって言えよ」


 バートンは僕を突き飛ばす。僕はわざと床に倒れる。


「ハルトっ!」


 エリが叫ぶ。ハリーだって。あと、僕は自分の事をぼくちゃんなんて言った事はない。


「エリッ! 下がっとくんだ」


 君を守るためだから、大人しくしててくれ。 


 読んでいただきありがとうございます。


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