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 EX 恋愛成就の御守り


「「おおおーーっ!」」


 会場にどよめきが走る。花道を通って土俵に現れたのはエリ。紺色のまわしを胸の所に巻いている。確かにまわししか身につけては居ない。けど女の子としてどうなんだ? 前から見るとTの字になってて、横から見ると胸に巻いてるだけで裸に見える。あの人、お姫様だよね。今だかつてそんな格好をしたお姫様っていたんだろうか? たしかに昔、相撲を見た時にあれが女の子だったら齧り付くように見るのになとは思った事はあるが、さすがに知り合いがそんな格好してるのはドン引きだ。


「「おおおおおおーーーーっ!!」」


 ん、エリよりも激しく会場がどよめく。モモだろう。もしかして奴は羞恥心無いからまわしだけで登場したとか?


 良かった。まわしに晒しだ。けど、それでもヤバい。まるで二次元の生き物みたいだ。なんか最近のイラストとか胸がやたら不自然にデカい女の子が多くて、そんな人間居ないだろとか思ってたけど、奇跡は存在した。羽根は今日は出してない。それで余計に胸が目立つ。


「ちょっと、あんた、何晒しなんか付けてるのよ。ここはまわしだけじゃないとルール違反なんじゃないの?」


 エリがモモに詰め寄る。


「えー、何言ってるんですか。そんな変態みたいな格好出来る訳ないじゃないですか。私が胸丸出しで出てもいいけど、多分、衛兵が来て、祭り取りやめになりますよって言ったら、晒しだけはオッケーって事になりましたよ。それにそもそも私じゃそんなまわしに収まらないですから」


「ぐぅ。モモのくせに。まあ、いいわ。勝てばいいんだから」


 二人は離れると構える。そして足を開いて構える。なんかエリはモモを変態みたいと言ってたけど、お尻丸出しの二人は五十歩百歩だと思う。そんなに欲しいのか恋愛成就の御守り。女心って分かんないなー。


 僕たちが立ち寄った街では五穀豊穣のお祭りをやってた。そして、その目玉は、相撲大会で優勝者には米一俵と恋愛成就の御守りが与えられるそうだ。その御守りは霊験あらたかで、装備した人は1年以内に彼女が出来るという。それを聞いてみんなの目の色が変わった。僕の仲間たちはその予選に無理矢理参加して、なんとエリとモモが決勝に進出してしまった。予選はどんな格好でもいいそうだけど、決勝は昔から伝わるまわしを着用しないといけない。二人は辞退するかと思ったけど、箱に入った御守りをエリが鑑定してこうなった。


「はっけよい! のこった!」


 二人は土俵に手をついてぶつかり合う。なんと互角だ。そして組み付く。エリのまわしの位置が高いから抱き着いてるみたいだ。二人は体を真っ赤にしながら組み付いたまま動かない。まじかエリの圧勝かと思ってたのに、モモも人間辞めてたのか! 会場も固唾を飲んで見守ってる。

 二人はがっぷり組み付いたまま、少しずつ回る。僕の目の前にはまわしが食い込んだエリが背中を向けている。


「うっわ、プリンセスと言うより、プリンケツね」


 アイが隣でなんか言ってる。上手い事言った的なドヤ顔がウザい。


「くっ!」


 急にエリの顎が上がる。会場の人にどよめきが走る。今、確かにモモの胸がエリの顎をかちあげた。それでもエリはモモを離さず、なんとモモを吊り上げた。


 ぶわさっ!


 モモの背中に生える羽根。


「私には場外は無いですよ。飛んじゃダメってルール無いですから」


「わかってるわよ!」


 エリはその場で仰け反りブリッジして、なんとモモの頭を土俵に叩きつけた。僕は丁度モモの背中側にいたので、エリのまわしが食い込んだえげつない姿を目にする事になった。


「ハルトー、やったわよー」


 土俵の上で、大の男が二人がかりで運んで来た米俵を片手で持ち上げて喜んでいる。僕の名前を呼ばないで欲しい。関係者だと思われたら恥ずかしいじゃない。

 そして、もう一つの景品の御守りを首からかけてもらってる。運営の人が説明してたけど、その御守りは相手から見えてないと効果ないらしい。エリの顔がさすがに引き攣ってる。御守りはネックレスで先端には結構大きめの精巧なマッチョな男性のフィギュアがついている。

 米俵片手に際どいまわし姿でマッチョのネックレスをしてるエリは正直関わりたくない系統の人にしか見えなかった。

 けど、なんかソワソワするのは、なぜだろう。もしかして、エリの意中の相手って……

 僕はとりあえず逃げる事にした。


 


 


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