EX 誰が好み?
「「いただきまーす」」
今日のご飯は女性陣たっての願いでパスタだ。島で修行し始めて数日、色々な料理を作ったけど、リクエストが多いのはパスタ。
女の子4人は嬉しそうにパスタを食べ始める。エリ、モモ、アイ、食事の時には人間の大きさになるパンドラだ。
そもそも何でこんなに女の子ってパスタが好きなんだろう? パスタって食べても直ぐにお腹が減るし、ガツガツ食べにくいから食いでがない。麺ならパスタなんかより、東方のうどん、そば、ラーメンの方がズルズル一気に食えるしスープがあるから腹持ちがいいから、そっちの方が百倍好きだ。僕なんてパスタを初めて食べたのは、冒険者を始めて当時の仲間たちにつれられて行ってからだ。イリスはパスタが好きでジェイルは女の子と一緒にご飯の時には良くパスタを食べていた。それで野営の時の飯に僕に作れと言う事になって、パスタを覚えるために冒険が無い時にはパスタ屋さんでアルバイトさせられていた。そのお陰で僕はパスタを極めている。好きでも無いのに。
ちなみにパスタの種類はざっくりと4種類しかない。ペペロンチーノ系、トマトソース系、クリーム系、東方和国風系だ。クリーム系、和風は簡単。混ぜるだけでだいたい出来る。ペペロンチーノとトマトソースはちょっと技術がいる。ソースとオリーブオイルをしっかり混ぜ合わせて乳化させないと本当に美味しくは出来ないからだ。乳化したらクリーミーな謎旨みが加わる。それを味わったらそうじゃないものは、物足りなく感じてしまう。ちなみに今日のパスタはトマトソース。キノコとベーコンが入っている。
そしてパスタを食べ始めるといつものバトルが始まる。モモは左手でスプーン、右手でフォークを持ち、麺をスプーンの上でクルクルと巻き取って食べている。それにエリがツッコむんだよ。
「ちょっと、あんた子供じゃあるまいし、何スプーンなんか使ってんのよ」
ちなみにエリは右手のフォークでクルクル麺を巻き取って音もなく食べる。なんかそれがマナーらしい。
「別に食べやすいからいいじゃないですか。ここは宮中じゃないからマナーなんか関係ないじゃないですか」
モモは気にする事なくマイペースに食べる。そしてだいたいここでアイが入ってくる。
「そうよ。好きに食べればいいじゃない。何気取ってんのよ」
ちなみに僕とアイは箸で食べる。僕は島での自給自足ライフでは、フォークなんていう贅沢なものは無かった訳で、木二本で簡単に作れる箸を愛用してたから何でも箸でしか食べられない。アイが箸を何故使うかは謎だ。
「そうっ! 好きにすればいいわ。あんたらいつか会食に出席する事になって大恥かくわよ」
今日は面倒くさいのかエリはこれ以上絡むのを止めた。
フォークでマッハでパスタを平らげたパンドラが僕の減った水をつぎ足してくれる。気が効くよね。そして、僕に耳打ちする。
「主様、ブタ共を出荷しないって事は、肉奴隷にするつもりなんですよね。それで、どのブタが一番好みなんですか? 私以外で」
「ブフッ」
危ねー。パスタ吐き出しそうになった。肉奴隷って何だよ。そんなつもりは全く無い。まあ、けど、ふと思った。僕は誰が一番好みなんだろうか?
パンドラは無いな。まあ本人も私以外って言ってるし。なんて言うか、僕には恭しいのに、他の人には塩と言うか鬼畜対応なのが酷い。やっぱり、表裏があるっていうのは好ましくはないな。
エリを見る。優雅にパスタを食べている。気品があって非の打ち所がない。最初にエリを見た時にはお姫様が流れて来たのかと思った。それなのに、蓋を開けてみれば、ただの乱暴者だ。今では山奥に居るグリズリーとか凶暴なゴリラにしか見えない。
モモを見る。モキュモキュ美味しそうに食べている。彼女に最初に会ったときには、まじで天使が降臨したのかと思った。金髪碧眼に誰もが振り返るようなプロポーション。ぱっと見完璧だ。けど、彼女が胸で剣を挟んだり、エリやアイを器用に殴ったりするのを見てから触手がついた生き物にしか見えない。なんか体が人間で頭がタコな魔物がいるけど、それの亜種にしか見えない。
アイを見る。チマチマと少しづつ食べてる。小動物みたいだ。彼女を最初に見た時には清楚っぽくて可愛いと思ったんだけど、中身がヤバい。人の悪口や文句ばっか言って、まるでデレる事が無いツンデレだ。しかも最初は華奢で虚弱な守ってあげたいイメージだったのに、なんかいつの間にかゴイゴイ強くなってる。狂犬、誰にでも噛みつく狂犬にしか見えない。
一瞬で考え尽くし、一応パンドラに答える。
「ごめんパンドラ。3人とも勘弁してください。もっとお淑やかで普通の人がいいです」
「やっぱり、主様は、私が一番って事ですね」
無い無い。それは無い。けど、パンドラ、嬉しそうだから言わなくてもいっか。
ランキング入ってて嬉しかったので追加です。
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