第二百二十三話 エンディング
「ねぇ、本当に後悔してないの?」
アイがしつこく僕に絡む。
僕たちは、あてもなくどっかの国にでも行こうと街道を歩いている。パンドラが残り三つの『魔将珠』を集めようってうるさいからだ。頭にはパンドラが乗ってて、アイとモモが僕を挟んでて、モモツー、エリツー、バナーヌ、あと竜王女が後ろからついてきてる。少人数で歩いてたら危ないとのアイの案だ。まあ、バナーヌが居る時点で普通の人間は襲いかかってきたりしないだろう。でっかいバナナだよ。妖怪にしか見えない。
けど、何か寂しい。エリが居ない。まあ、お姫様だからしょうが無いけど……
あの後数日お城で歓待され、結構な金額を貰って僕らは解放された。第一王子の下手にでっぷりが気持ち悪かった。エリがなんか変な事でも話したんだろう。エリはしつこく僕に国に残って一緒に治めて欲しいって言ってたけど、無理無理そんなの無理。僕には何も出来ないよ。エリは王女、僕らは冒険者。エリとは城で分かれる事になった。
「本当に後悔してないんですか? 上手くいけば超逆玉狙えたじゃないですか」
モモが尋ねてくる。僕の進路フヨフヨ浮くのは止めて欲しい。邪魔だよ。
「後悔してないよ。僕にはそんな逆玉とか、政治とか無理だよ。そんな器じゃないよ」
「そうなんですねー。けど、寂しくないんですか? ハルト、エリの事好きだと思ってたのに、私の次に」
「モモの次じゃないけど、好きって言えば好きだけど、友達のようなもんだったよ」
モモが旋回すると、エリツーをぶら下げてやって来る。
「ほらほら、エリって可愛いでしょ。ハルトもそう思うでしょ」
モモがエリツーの顔を近づけてくる。近いって。僕とエリツーは見つめ合う。うん、可愛い。
「うん、可愛いね」
僕は目を逸らす。無理だって。ずっと直視するのは。あ、いつも無表情のエリツーが笑った。にぱーっと。エリツーってこんなだらしない顔できるんだ。
「あたし、可愛い?」
げっ、なんか怖い。たしかこの後、口が裂けて喰われるんだよな。そう言う都市伝説あったな。本当にエリツーか?
「誰だっ!」
「何言ってるのよ。あたしよ、あたし」
モモがエリツーを取り落とす。エリツーがコテンと転がって立ち上がる
「いったいわねー。モモ、何いきなり落としてんのよ」
「だって本物のエリはお城じゃないんですか?」
「パンドラとアイと協力して、あたしとエリツーが入れ替われる魔法を作ったのよ。今はエリツーがプリンセスしてるわよ」
なんかしつこくアイが僕に絡んでたのはエリとグルだったからか。
「やったー。ハルトから可愛いいただきましたっ!」
なんかエリがぴょんぴょん跳ねている。
「何いってんのよ。あんたとハルトじゃ釣り合わないでしょ。さっさと城に帰りなさいよ」
とか言ってるけど、アイは楽しそうだ。
「これで、また、みんな仲良く冒険できますねー」
モモもエリが居て嬉しそうだ。なんだかんだで僕も嬉しい。
これからの旅も賑やかになりそうだ。
Fin
読んでいただきありがとうございます。10万字程の予定が倍以上になってしまいました。途中ダラダラ最後駆け足になってしまいました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。とても感謝しております。
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