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 第二百十六話 島ルート 4


 風が髪を靡かせ、驚いた海鳥が僕らを避け、それが後ろに流れていく。子供の頃からずっと思ってた夢。自由に鳥のように空を飛びたい。自力で飛んでる訳ではないけど、まさか大空を駆け巡る時がくるなんて。


「さいこー! さいこーだよ」


「凄いでしょ」


 アイが髪を靡かせて振り返る。アイは船首、僕は船尾に腰掛けてるので、人が数人入れるスペースは空いてる。だからアイの様子がよく見える。背中はココブラの紐一本。腰蓑の葉っぱは流れてお尻丸出しに近いのを本人は気づいていないみたいだ。


「これ、私のアイデアよ。ねぇ、船に名前つけましょう」


「いいね、それ」


 うん、アイの後ろ姿もいいよ。


「……ちょっと……なに……のんきな……」


 ん、モモの弱弱しい声が聞こえる


「ネクタリン。フライングネクタリン号でどう?」


「……ちょっと……あなたたち……」


「そうだね。みんなフルーツ大好きだしね」


「……何、いちゃいちゃ、してる……のよ……」


「うるさい魔道エンジンね。大事な話してるんだから黙っててよ」


「誰が魔道エンジンじゃい! こちとら大変とぞ!」


 なんか大声出してるから、魔道エンジンを見てみる。

 真っ赤な顔で船尾を掴み、首を上げて全身は後ろに流れて高速で羽ばたいてる。


「おお、すごいすごい。がんばってねー」


 うん、すごい。腕の間から見えるお胸が下でブルブルと羽根に合わせて高速振動している。なんかすげぇ。モモは力入れてるからか、全身ピンクに染まってて、胸の谷間もピンクだ。桃より赤い。ネクタリン。うん、ネクタリンだ。


「……ジャスティス号……ジャスティス号よ……」


「何それ、ありきたりでクソだっさいじゃない。フライングネクタリン号」


「ジャスティス号」


「フライングネクタリン号」


「ジャスティス号」


「フライングネクタリン号」


「「ハルトはどっち?」」


 え? つい、アイのお尻、モモの胸の谷間を見比べる。


「ネクタリン号?」


「ふぅ、ハルトが言うならしょうがないですね。ネクタリン号で我慢しましょう。それより、アイ、尻出てますよ」


 あ、隠しちゃった。


「え、あ、あ。あんただって胸の谷間アピールしてるの?」


「え?」


 舟がガクンと揺れる。あ、モモが手を離しやがった。斜めになった舟の中を転がり、アイに当たり、アイの腕と舟を掴む。


「モーモー」


 モモは僕らの後ろを飛んでいる。みるみる海面が近づいてくる。海上だから僕らは大丈夫だと思うけど、舟がやられるかもしれない。アイの無事を確認すると、げっ、ブラジャー無くなってる。なんで僕に掴まってこないかと思ったら、左手は胸を隠してる。


「ごっめーんなっさーい」


 高速飛行してきたモモが、舟を下から支える。なんとか墜落は免れた。海面ギリギリだよ。


「落としちゃった……」


 僕はアイを見ないようにする。


「じゃ、僕が前に座るね」


「うん」


 やべ、アイがしおらしい。モモは舟の下で見えない。どうすればいいんだ。狭い空間で腰蓑一丁の女の子と二人っきり。僕の頭はパンクしそうだ。けど、一つだけ言える。こっちのルートが正解だった!


 



 


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