第二百十五話 島ルート 3
すいません。遅くなりました。土日はどうしても疲れと時間が(>_<)
「ハルト、ありがとう」
トイレの前にはアイが居た。なんかアイってひねくれてるけど、ちゃんとした事はちゃんとしてる。お礼を言うとか、返事をするとか、挨拶するとか。だから嫌われないんだろうな。僕は初対面だと緊張して挨拶出来ないこともあるし、今みたいに素直にありがとうとも言えない。前のパーティーに馴染め無かったのもそう言う積み重ねだったのかもしれない。
けど、空気は読んで欲しい。誰も居ないと思ってたから、水鉄砲は勢いよく放ったし、あまつさえ砲さえ心ゆくままだった。やべ、顔が熱い。
そう、今だって言葉が返せない。なんて言えばいいんだ? だって、アイの格好、ココナッツブラと腰蓑だよ。まさか、エリに続いてアイまでも僕が冗談で作ったものに袖は無いけど袖を通すとは……一番でっかいモモ様のを付けてるのはご愛嬌だ。
「ハルトのえっちぃ。そんなジロジロ見ないでよ」
ふぇ、しかもアイがデレてる。顔なんか真っ赤だ。こっちが正解だった。誰がなんと言おうと、こっちのルートが正解だった。魔道カメラがあったら撮影したいとこだ。南国の木々を背景に、清楚と言う言葉が似つかわしい美少女が恥じらってる。ポートカインの土産物屋でスチール写真として売るのなら、かなりの大枚でも紳士殿たちに飛ぶように売れる事だろう。
「ありがとうね。また、助けてもらった」
アイはカクカクと横を向く。やっぱりゾンビなんじゃないか? 朱を差した頬がそれを否定している。けど、そうであろうと無かろうといい。今のアイ、とってもいい。
バサッ。バサッ。
せっかく良い感じだったのに、モモが僕とアイの間に降りてきた。もしやと期待したけど、モモはいつものふんわりワンピースだ。ココナッツ……
「もう、何遊んでるんですか。ハルトを呼んで来てって頼んだじゃないですか」
「ちょっとお礼を言ってただけじゃない。本当ヤバかったわ。なんか船で川を渡ってて向こう岸からエリが手を振ってたわ」
それってもしかして死者が渡ると言うアケローン川や三途の川と言われてるものなんじゃ? 実在したのか? それより!
「エリっ、エリとパンドラはどうなったんだ?」
「エリはもう、川の向こう岸に……」
「何、エリを殺しにかかってるんてわすか。もう、そんな川なんかねーですの。アイの夢だったんでしょ。エリは生きてますよ。モモツーから思念が飛んできてますから。けど、急がないと、エリたち、ガチで川を渡る事になりますよ!」
そう言うとモモは走り出した。飛んでないって事はついて来いって事だろう。
「さあ、乗ってください」
モモが指差してるのは僕の木彫りの船。何言ってんだ? あれ、アイが素直に船に乗ってる。地上なのに。ま、なんか考えがあるんだろう。新たな魔法かも。
僕が乗ると船が浮き上がった。
「え、アイ、凄い魔法だな。飛ぶの?」
アイがギギギと振り返る。ゾンビロールいつまで続くんだ?
「飛ぶわよ。けど魔法じゃないわ。人力よ」
アイが指す後ろを見ると、モモが顔を真っ赤にして踏ん張って船を持ち上げてる。化け物か?
「うわっ!」
船がゆれ、僕は縁に掴まる。浮いてる。いや飛んでる。みるみる地上が遠ざかる。そして吹き寄せる風。
すげぇ。ガチすげぇ。語彙力が死んでしまう。飛行船。高速飛行船を僕らは手に入れたんだ!
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