第二百十一話 バトルルート エンド
ん、エリが僕の横を見てる? なんだこれ? 大っきな黒い球が浮いてる。もしかしてレアドロップか?
ピシッ。
小さな音がしたと思ったら球が弾けた。五つ、そのうち四つの破片が空に向かうのと同時に球から爆発したかのように空気が壁のように僕に当たる。なんと持ち堪えたけど、仲間はみんな吹っ飛ばされてしまった。みんな僕より強いから大丈夫だと思うけど、なんで僕だけ吹っ飛ばされない? 目の前には小さくなった黒い球が浮いている。その前に小さな影? 羽根を生やした人形みたいなもの。パンドラ? パンドラは球に抱き着く。球とパンドラが一体になり膨れ上がる。そこには僕と同じくらいの大きさになったパンドラが立っている。僕に振り返る。布面積が少ない際どい水着みたいなのを付けている。
「主様。いや、ハルト。お前はどうしたい?」
どうしたいも何も何が起こってるんだ?
「分からないようね。あなたには知る権利がある。さっきの宝珠は、魔皇珠。この世界の闇を集めるもの。昔この地にいた英雄が竜の魔王と共に封じていたもの」
ん、何語り始めてるんだ? なんかのプレイなのか? 僕もこの遊びにつき合うべきなのか? まあ、こういう中二的なものは好物だ。話を合わせてあげよう。なんだかんだでパンドラは色々やってくれるからな。
「そうなのかっ! 僕が封印を解いてしまったのか?」
封印を解くもなにも、なにもしてないけどパンドラが楽しんでるのならいいか。
「竜の魔王は他の四人の魔王から魔将珠を集め魔皇珠へと高めた。けど、その力は強すぎて、竜の魔王は知恵を失った。魔皇珠は闇と闇に連なる祈りや呪いを力に変えるもの。この世に闇が有る限り、この世に生き物がいる限り無くなる事は無い。そう、英雄は魔王を倒せた。けど、倒したら魔皇珠がまた他の者の手に渡るだけ。だからここに封印した。魔皇珠は再び五つの魔将珠に戻り、四つはあるべき所に戻り、一つは私が手に入れた。そして、私は進化した。『箱魔王パンドラ』に」
箱魔王……もっと格好いい名前を思いつなかったのか? 魔王って言ってるけど、前までのパンドラより強くなったようには見えない。まあ、大っきくなってるけど、それは今までも散々見てきてるし。違いと言えばゲスな服の素材が良さそうな事くらいか?
まこうじゅとか、ましょうじゅとか訳分かんないけど、要はエネルギーを集める珠って設定だよね。そんな便利なものがあったら僕が欲しいわ。
「さぁ、ハルト。お前には選択肢がある。私と共に世界に破滅をもたらすか、ここで血肉を散らし大地のシミになるか」
ん、後から何か走ってくる。いやーな予感がする。
「ダメよハルト! 魔の誘いに乗っちゃダメ」
金色のビキニのエリだ。やっぱり無傷なんだね。激しく飛んでたけど。
魔の誘い? あ、パンドラの質問か。なんかエリもノリがいいなパンドラに合わせてるのか? アイとモモもやって来た。服はボロボロだけど無傷だ。みんな体が鋼なのか?
「じゃ、シミの方でよろしく。はめつはそんなに好きじゃないからね」
どう答えようか迷ったけど、考えるのが面倒くさくなったから、適当に言ってみた。
「ほう、ふざけるとは余裕だな。砕け散れ」
パンドラが近づいて来てへなちょこパンチを放つ。ドンと胸で受け止める。痛がってやるふりでもしてやるか。
「うぉ、さすが魔王。いいパンチだ」
僕は胸を押さえる。
「パンドラ、気が済んだでしょ。じゃ、早く街にかえってメシ食おう」
「えっ、私の全力が……嘘。クッ私はまだまだって事ね。他の四人の魔王と組むしかないわね。ここは悔しけど……」
パンドラが小っこい妖精に戻ってどっかに飛んでこうとする。もういいって。僕はパンドラの首根っこを捕まえて頭の上に乗っける。
「パンドラが居ないと不便なんだから、大人しくしててね」
ゴーン! ゴーン! ゴーン!
え、鐘の音がする。
目の前に金色の天秤が現れる。片方が下がってたのがもう片方が下がり始める。『残る』と書いてある珠の方が。
「え、なに、なんだこれ」
辺りが一瞬白くなったと思ったら僕は桟橋の前にいた。ここはスライム島だ。まじか、戻ったのか?
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