第二百五話 バトルルート2
「マジックミサイルッ!」
戦いの口火を切ったのはアイ。白い丸太のようなものを生み出して矢のように投げる。顕現しつつある黒竜に問答無用に攻撃してる。早い。あんなでっかいものが飛ぶスピードじゃない。投げたと思った次の瞬間には命中してて丸太は白い吹雪のように弾ける。
「耐性があるわ。大して効いてない」
言うなりエリが走り出す。両手に剣をぶら下げて。右手の剣を上げ振り下ろし、左手で切り上げる。
ギンギィーン!
耳障りで金属を強く擦り付けたような音が響き渡る。人間が出せる音とは思えないな。エリが持ってた剣は直刀だったはずなのに、両方とも大きく反っている。竜の鱗は傷は付いてるけど、割れてはいない。
「なまくらはダメね」
エリは思いっきり剣をドラゴンに投げつける。投げつけられたとこの鱗が爆ぜる。武器を手放すのに投げつけるとこにエリの凶暴性がにじみ出てる。僕が剣をダメにしたら怒るのに。けど、明らかに斬りつけるより、投げつけた方がダメージ出てないか?
空から幾つものキラキラした白い羽根が降ってくる。
「ハァアアアーーーーッ!」
空から天使が逆さまに降ってくる。突き出した剣が鳥のくちばしみたいだ。そして片手で剣を突き出したまま竜の頭に落ちてくる。竜はそれを目の端に捉え首を動かす。
ドゴッ!
固いものがぶつかったような重い音を立ててモモは剣を竜の肩にぶっ刺した。クルリと反転して、羽ばたき離れる。
「グゥオオオオオーーーーン!」
竜のが空に向けて叫ぶ。フルボッコだな。なんか少し可哀想な気もする。
「バナーヌ! 来て!」
アイがバナーヌを抱えて、剥いた先端から、怒濤のように白いビームを放つ。ドガドガと竜の鱗を削る。
「ゴールドッ!」
エリの右手にゴールドが巻き付き、槍みたいに伸びて、それでエリが竜を殴りまくる。
「ダブルエンジェルアタック!」
モモとモモツーが空を飛び回り、拳を突き出して突撃していく。
竜の巨体は攻撃を受ける度によろめく。竜はこのままあっさりとやられてしまうんじゃ? 僕は一応アイからエリツーを呼べるようにオカリナを借りてるけど、出番は無さそうだ。
ん、そう言えばパンドラは? たまにパンドラはふらっと居なくなる。まあ、気紛れな妖精だからなー。けど、そういう時ってろくな事してないイメージがある。
「おかしいわね。効いてるのに、なんで倒れない?」
エリの声が聞こえる。ドラゴンはボコボコにやられているけど、まだ立ってる。ゆっくりと腕や尻尾を振るうけど、仲間には全く当たらない。けど、よく見るとモモの刺した剣以外は表面だけにしかダメージを与えてないように見える。ん、アイが後ろに大きく飛び退く。そして、こっちを向いて叫ぶ。
「でっかいブレス吐く気よ。一端距離をとって!」
え、僕、結構離れてるのに、こっち見てるって事はここも危険?
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