第二百三話 ジャッジメントスタート
みんながクタクタでお風呂場から帰って来て、島で最後の睡眠をとった。みんな疲れてたみたいでいつになくすぐに寝静まったみたいだ。毎日誰かが暴れる音が聞こえてたもんな。
僕が起きた時にはもうみんな起きてて準備が終わってた。必要なものだけパンドラに収納してもらって、桟橋へと向かう。
ゴーン! ゴーン! ゴーン!
桟橋から船に乗り込もうとすると、大きな鐘の音が空から降ってくるように聞こえる。前をフワフワ飛んでたモモがこっちに飛んでくる。
「始まりましたね。審判が」
珍しくモモが真面目な顔で言い終えた瞬間に辺りの色彩が消えた。
目の前に金色の天秤がゆっくりと降りてくる。
「ジャッジメント、スタート」
厳かに聞こえるハモった男女の声。
天秤の上には二つの球。『残る』『出る』って書いてある。スキルも言葉も西方語で格好つけてるから、球の文字もおされに西方語にすればいいのに。
目の前でぐぐぐっと天秤が傾く。乗ってる球は『出る』だ。
カッと球が光る。そして弾けると、辺りは元に戻ってる。
「じゃ、ハルト、行きましょうか」
「ああ」
モモが差し出す手を握る。
「あんた、何ハルトの手握ってんのよー」
「しょうがないじゃないですか。今、私のスキルが発動したんですよ。ハルトは今、行動に制限かかってるから、海に落ちるかもしれないじゃないですか」
「まあ、そうよね。仕方ないわよね!」
左手をエリがガシッと掴む。
「あー、ずるい。私が掴むとこないじゃない」
アイがなんか言ってるが、なんか釈然としない。
「ちょっと、待ってよ。行動に制限って何だよ」
「えっ、もしかして、モモ説明してないの?」
「エリが言ったんじゃないですか?」
「えっ、まじ、二人とも説明してないの? 私も言ってないわよ」
まじか、大事な事なにかを僕に伝え忘れてたって事?
「まあ、そこまで大した事じゃないけど、私が説明するわ」
うん、説明と言えばアイ。アイと言えば説明だ。
「エリがスキルを詳しく調べたんだけど、その対象者は、分岐に逆らう行動は出来なくなるって事。今回はハルトが島を出るか残るかの分岐だから、今、ふざけてやっぱり残るってしようとしても、体が言う事聞かなくて出来ないって事よ」
試しに桟橋を引き返そうとしてみるが、まじだ。体が言う事聞かない。戻ろうとするのに体が船に向かっていく。なんだこれ怖ぇ。まだ、アイが喋り続ける。
「あと、発動条件は、世界に重大な変革をもたらすって事。重大な変革って、分かりやすく言うと、大勢の人に、その選択で違う結果をもたらすって事だそうよ」
なんなんだそれ? 僕が島に残ろうが出ようが、大勢の人に変わりある訳無いじゃん。もしかして、僕が島から出ると沢山の人に迷惑でもかけるのか?
と言う訳で、分岐エンディングです。二つの結末で、より、読者様に気に入っていただけたと思う方が結末になる予定です。五話づつ予定です。よろしくお願いします。
読んでいただきありがとうございます。
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