第百九十三話 ガンナー(エリ視点)
「アイ様には指一つ振れさせません」
良く通る綺麗な声を出しながら、バナーヌがアイの援護する。流れるような優雅な動きで筋肉質になった腕でシーサーペントを殴り飛ばす。そして、その勢いを殺さず次の奴をけり飛ばし、また殴りつける。これを足場が悪い波打ち際でやってるから凄い。
あたしたちが強くなって、その力を源とする精霊たちも強くなった。バナーヌはほぼ見た目は変わらないけど、少し手足がゴツくなってる。
近くのシーサーペントを薙ぎ飛ばし、バナーヌの回りにスペースが出来る。
「マジックミサイルでございますっ!」
バナーヌは頭? の先っちょを剥いて白い実を少し曝す。それをシーサーペントに向けると、その先端から白いビームが伸びる。
アイのマジックミサイルは質量に特化して太くなったけど、バナーヌのマジックミサイルは収束して威力を上げている。
白いビームはまるでバナナに白い細い棒を刺したみたいだ。それを振り回す。
チュイチュイチュイーーーーン!
バナーヌのビームが当たった海から熱した金属に水をかけたような音がする。白いビームはバナーヌの前の海面に大きな弧を描き、その通り道にあるものを全て両断していく。ビームの先端が当たったとこで大きく水が跳ねてる。少しの時間で、バナーヌの目の前にいた全てのシーサーペントは動きを止めてしまった。
「さすがね。私のバナーヌ。じゃ、合体技いくわよ」
アイがバナーヌに抱き着き持ち上げる。先の方を左手で握り、右脇の下に抱き抱えてる。左手で照準を合わせて、右手がトリガー。アイはバナーヌという巨大で強力なガンで群れ寄るシーサーペントを撃ちまくる。
バナナガンナー。
新たなバトルクラスがここに誕生した。
バナーヌのマジックミサイルはその射出場所のために、自分では照準を合わせにくい。自分の頭の天辺からビームが出ると考えると分かり易いだろう。凄く使いにくい。それを解決したのがこのスタイルだ。アイたちは物理で撲った方が強いけど、この戦法の利点は速度。ガンの攻撃範囲は広いから、短時間でザコなら殲滅できる。
とても便利だとは思うけど、アイ本人は気付いてない。自分が戦うのは見えないからね。
小脇に自分と同じくらいでっかいバナナを抱えてバナナから白いビームを放ちまくる小柄な可憐な少女。
うーん、なんて言うかシュール? まあ、一つだけ言える事は私は真似出来ない。恥ずかし過ぎる。アイは羞恥心ってものをお母さんのお腹の中に忘れて来たのだろうか?
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