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 第百九十一話 海水浴


「メロン! メロンを出すのよ!」


 エリが雄々しくうなぎをなぎ倒す。メロンを出す? メロンってもしかしてアレの事か? ついモモの方を見る。あ、目が合った。


「うもーっ。出さないですよ!」


 うなぎを引きちぎりながらモモが言葉を吐き捨てる。ちょっと声怖い。


「何言ってるのよ! メロン、メロンのおかわり欲しくないの?」


 アイがうなぎをぶん殴りながら言う。メロンのおかわり? それにしても、アイ、なんか強すぎないか? 


「はぁああああーっ! マジックミサイルッ!」


 アイは白い丸太みたいなのを出すと、それを握ってうなぎを殴り始める。おお、凄い武器だ。なんか吸血鬼を倒す人みたいだな。


「私は、今、進化したっ! 必中の武器を手に入れたわ! マジックミサイルは必中! それで殴れば必中! 今まで戦いは五里霧中♪ 今のは私はミサイルに夢中♪ 私は魔物を倒してる最中♪ 私の勇姿にハルト夢中♪ 貰えるご褒美ありがとうのチュー♪ ヘイ! ヘイ! ヨオ! チェキラ!」


 なんかアイは途中からラップし始めて、それに合わせて群れ寄るうなぎをなぎ払う。だせぇ。けど、なんか楽しそうだな。けど、冗談だと思うけど、ご褒美のチューなんて僕には無理無理。どうしてもって言うのならやぶさかじゃないけど。どうしようか思案中♪


「あ、もしかして、メロンってさっきの瓜の事ですか?」


 モモが言葉を投げる。


「そうよっ。そうに決まってるじゃない。甘い瓜ってメロンでしょ?」


 エリはそう言うけどそうなのか? 瓜は瓜、メロンはメロンじゃないのか? けど、その境目は曖昧だなー。まあ、けど、メロンを出せって言うから、モモに脱げって言ってるのかと思ったよ。それにモモだからワンチャン「わかりましたっ!」って言うのもあり得るかもって思っちゃったよ。


 僕は辺りを見渡す。僕の思い出が汚されていく。砂浜にぐっちゃぐちゃなうなぎがうずたかく積み重なり、辺りを支配してるのはむせ返るような血の臭い。水着と体を朱に染め、悪鬼羅刹のように暴れまくる少女たち。ここは地獄なのか? これが多分エリにとっては海水浴。海で遊んで楽しむって事なんだろう。価値観が違い過ぎる。サイコパスなのか?


「ちょっとー、ハルトも一緒に戦ってよー。全く落ちないじゃないのー」


 エリが陽気な声を出す。彼女たちはただ、あのこ汚い実が欲しくてこんなジェノサイドを繰り返してるのか? 確かにスキルが手に入るかもしれない実というのは魅力的だ。けど、あの凶悪な顔をしてヌルヌルなうなぎを出来るだけ僕は触りたくない。うなぎは砂浜の遠くまでは上がってこないから、ここから離れたら近づいて来ないのに。


「ハルト! 戦ってください」


「アンタも働きなさいよ!」


 モモとアイも僕に戦えと言う。


「嫌だよ。せっかくさっきの汚れ落としたのに。じゃ、頑張ってねー」


 やってられんわ。僕は逃げ出す。パンドラ。多分彼女がどっかでうなぎを呼んでる。止めさせないと。


 読んでいただきありがとうございます。


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