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 第百九十話 砂浜

 すみません。遅れました(>_<)


「あとは、ウンちゃんがやっとくそうよー」


 パンドラが船室から飛んでくる。僕らは海水を甲板にぶちまけて掃除してた。若干船の隅が汚れてたりするけど、ウンちゃんがオッケーならいいか。まあ、お約束で海水の入ったバケツをお互いにかけ合いまくったけど、それはいつもの事だ。女の子たちはずぶ濡れだけど、下に水着を着用してた。それでもなんか服がぴったり体について水着が透けてるのはなんかドキドキする。

 パンドラはさっきのヤヌス事件の時には船室から出て来なかった。その話をしても、「そうなんですねー」ってだけで素っ気ない。もしかしたら、ヤヌスの事が苦手なのかもしれない。

 

 そして次はビーチで遊ぶ事になった。前にエリが漂着したとこだ。エリは運が悪かったら海の藻屑になったかもしれないのに平気みたいだ。僕なんて今でも少し海には忌避感があるのに。羨ましい。体だけでなく心臓も鋼なんだろう。

 女の子たちは勢いよく服を脱ぎ捨てて海に走っていく。僕は焼けた砂浜に座る。正直夢のような光景だ。まさかこの僕がこんな体験をする事になるとは。エリのまるで絵本のお姫様が金色のビキニを着てるような背徳感。モモの白いフリフリの水着が揺れる。はち切れんばかりの中身が暴れている。そして、アイは紺色のワンピースからスラッと伸びた白い足が眩しい。昔の僕はビーチに行ってもいつも一人。女の子に話しかける事も出来ず隅っこでコソコソしてたもんだ。逆に昔の仲間たちは海を良く楽しんでた。そう言えばイリスは良く新しい水着を買ってたけど、僕はそれを着てるの見た事なかったな。当時は気にしてなかったけど、それで彼女が僕を好きって言ってたのが打算だと冷静になった今は分かる。イリスのような可愛い女の子に好きって言われて、彼女が心変わりしないように彼女の事はなんでも肯定してたもんな。まあ、最期は彼女とは決別した。今は、どっかで会っても何とも思わないだろう。

 ちょっと昔の事を思い出して滅入ってたけど、目の前の光景に癒される。キャッキャ言いながら水をかけ合う女の子たち。ただかけ合ってる水の勢いと量がおかしいけど、それは気にしない事にする。もしかして水着ズレたりするんじゃないか? ん、なんかおかしい。あ、そうだ、波が無い。え、水平線が黒い。なんか水面にチラチラ黒光りするものが。水平線が黒く塗りつぶされる。もしかして……

 黒い海がこっちに近づいてくる。なんか跳ねたりしてる。まじか。うなぎ、うなぎの群れというかうなぎの海だ。


「みんな逃げろー」


 僕は立ち上がり駆け出す。ん、誰も来ない? 振り返ると、僕に背を向けて腰を落として構えてる女の子たち。迎え撃つ気まんまんだ。そして、再び酸鼻極める戦いが始まった。やっぱり、エリたちの楽しいと僕の楽しいは別物みたいだ……


 読んでいただきありがとうございます。


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