第百八十八話 天秤
遅れて申し訳ないです。過労でバテてました(>_<)
「で、ヤヌスさん、これ、どうなってるの?」
「そうですねー。舞台で言うならモノローグのようなものです。さすがに、効能も分からずにスキルが発動したら困るでしょ」
んー、なんか言葉が通じてない。なんかいきなり下手に出始めたけど、なんか魂胆でもあるのか?
「いや、この、モノクロでみんなが動かないのがなんでかって言ってんだよ」
「それはですね。時間の流れを極端に遅くしてるだけです。ほぼ止まってるようなものです」
「そうなの? じゃ僕が死んだりした訳じゃないんだね」
「そりゃそうですよ。多分、私が時間を操っても、旦那様に傷一つ付ける事も出来ないですねー。本当に食べ過ぎでしょ」
食べ過ぎってなんだよ。僕はエリたちとは違うって。うーん。まじでなんか会話が噛み合わないな。さっさと切り上げよう。
「じゃあさ、分かったから元に戻して」
「せっかちですねー。待って下さいよ。ホーリージャッジメントの説明しますから」
説明? 説明って面倒くさいから聞くの嫌なんだよね。
「手短かによろしくねー」
「畏まりました」
まあ、どうでもいいけど、喋るのは男の人の顔だけで、女の人の方は後ろ向いたままだ。
「これから貴方様には大きな二つの選択があります。この島に残るか、出るかです。そのどちらかで世界の命運が変わってきます」
ヤヌスの前に浮いてる天秤に二つの白い玉が現れる。それには『残る』、『出る』って書いてある。天秤がゆらゆらと振れる。
「貴方様にはその両方を体験してもらいます。そして、天秤にかけて重かった方の世界線が現実となります。重いのはおもろかった方。神々がおもろいと思った方が選択される訳です」
重いとおもろいをかけてるのか? 微塵もおもろない。
「ん、なんだそりゃ? じゃ、残ると出るの選択権が僕には無いって訳か? ふざけるなよ。僕は僕のやりたいようにやる」
要は僕の行動を神様達が見てて面白いと思った方が現実になるんだよな。そしたら、僕が島に残ってもただ生活するだけだから面白い訳が無い。強制的に島から出されるって事だよな。
「申し訳ございませんが、それは難しいと思われます。スキルを使っちゃいましたから。覆水盆に返らず。取り消す事は私にも出来ません。納得いかないのでしなら、望む方の未来で頑張って神々に面白いと思って貰うしか無いでしょうね。それで、どちらの選択肢から始めますか?」
なんか訳が分かんないけど、こいつが嘘をついてるようには見えない。まあ、一回試してみればなんとかなるだろ。
うーん、行く、残る。まあ、僕的にはここに残ってゆっくりドラゴンが去るのを待ちたかったから、僕は好きなものは後に取っとく主義だ。
「じゃ、まずはみんなについて行くよ」
「そうですか、では、もう、時間がないですね。ループポイントは、出発の時からです。それでは、結果発表の時に。ぼんぼやーじ。」
ヤヌスさんの首が回り、両方の顔が横目で僕を見ている。軽薄そうに手を振ってる。
「ちょっ、待ってよ。まだ、聞きたい事が……」
ゴーン、ゴーン、ゴーン!
鐘の音と共に色が振ってきた。空が青く船にも色が。戻って来た色がヤヌスと天秤を消していく。
「なんだったの? 今の鐘の音?」
エリの声に振り返ると、何事も無かったかのように動いている。
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