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 第百八十四話 瓜瓜


「終わったようですね。主様褒めて褒めてー」


 パンドラが飛んで来て頭を差し出す。う、可愛いな。とりあえず撫でとく。


「フフフフフッ」


 パンドラは嬉しそうに目を細めてる。ところで、僕は何を褒めてるのだろう?


「で、パンドラは何してたの?」


「船の中でウンちゃんと協力して、うなぎ、呼び寄せてましたー」


 まじか。元凶はこいつか……


 ウンちゃんって、船の精霊のウンディーネの事だよな。さっきのモモの事が頭を過る。けど、妖精って凄いな。魔物を呼び寄せる事も出来るのか。


「主様ー。うなぎ沢山やりたかったんですよねー」


 そうか、僕が大量のスライムを狩るのを見続けたから、僕の好物が大量の魔物って勘違いしてるんだろな。うなぎをやるって、殺すとか倒すって意味だと思うけど、なんか僕がうなぎの真似でもするみたいだな。どうでもいいけど。

 まあ、被害は血まみれの船と地獄絵図のような海だけだからよしとしとこう?


「すごいねー。パンドラはー」


 僕は褒めて伸ばす主義だから、引きつる顔を頑張ってみる。


「『進化の黒瓜』! 多分これ、激レアアイテムよ!」


 なんかエリがこ汚い黒い実を掲げてシャウトしてる。テンション高いなー。それって瓜だよね。漬物とかにしないとあんま美味しくないやつだよね。


「しくじったわねー。シーサ、うなぎをハルトに全部倒させてたら、もっと落ちたかもね」


 嫌だよ。だれが好き好んでヌルヌルうなぎまみれになりたいんだよ。そういえば、うなぎを撃退した時にそんな感じの黒いブツが出てたかも。その時はキモいから放置してたけど。


「それで、それでどんな能力なんですかっ!」


 モモもアゲアゲだ。フルーツとか瓜とか、君ら実が大好きだね。


「よーく、聞いて。なんかふんわりしてるけど、説明は『希望と言う名の芽を育み実らせ力にする』だそうよ」


 アイも寄って来て瓜に顔を近づけて穴でも空くんじゃないかってくらい凝視してる。


「なんか文面からして、望んだスキルが手に入るっぽくない?」

 

 え、スキルが手に入る? なんだそれ。破格じゃないか! 


 アイが瓜を叩く。ポクポクと重めな音。中はぎっしり詰まってそうだ。


「まあ、誰かが食べるしかないわね。しょうがないわね。私が実験台になったげるわよ」


 アイがうっとりと実を見てる。え、食べるの? ここで。血の鉄っぽい臭いが充満して、あちこちにうなぎの肉片が飛び散ってる。海は赤黒く染まり、黒光りするうなぎの死骸が海埋め尽くすかのように浮かんでる。こんな中で物食えんわ。吐くわ。


「で、誰が食べるか……」


 エリの言葉を遮り、モモが瓜を奪って空に羽ばたく。そして微塵の躊躇いなく皮ごと瓜にむしゃぶりつく。


「メロン! 最高級メロンみたいよー!」


 空で自分自身のメロンみたな物体をぶるんぶるん揺らしながら叫んでる。


「モモ、あんた意地汚いわよ! って、ま、いっか。誰かがどっちにしても食べるんだし」


 ガツガツとモモは瓜を食べ尽くす。


「瓜ーっ。うりりりりりりぃーーっ。貧弱貧弱ーっ! みなぎる。みなぎるわーーーっ!」


 モモが大空を飛び回る。やっぱ。なんかよろしく無い成分が入ってたんじゃ? うなぎが出したものだし。うなぎって確か血かなんかに毒あるんだよね。


 どうでもいいけど、意地汚いのはみんな一緒だよ。僕もたまには実を食べてみたい気もする。まあ、アレはいらないけど。

 


 読んでいただきありがとうございます。


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