第百八十三話 『み』
遅れるてすみません。アップする前に大幅に修正して時間かかってしまいました。
「これは想定外ね。数が多すぎる。モモ、戻ってきて」
確かにおかしい。明らかにうなぎが集まって来てる。エリが何匹何匹も倒しても途切れる事無く船に群がって来てる。アイもぶっとい白い丸太を打ちまくってるけど、追いつかない。しょうがないから、エリの後ろで上がって来るうなぎをどんどん海に蹴り込む。
「モモっ、聞こえてる。このままじゃ、船が沈んじゃうわ」
振り返ると何匹か船にうなぎが上ってきてる。エリのキャパを超えたみたいだ。船が大きく傾く。これってまずいんじゃないのか? 助けようにも僕の前にも大量のうなぎ。揺れる船の上じゃ思うように動けず助ける余裕がない。なんでこんなにうなぎが集まって来るんだよ。
「分かりましたっ。すぐ行きますっ! けどっ、パンドラ、パンドラが居ないんですよ!」
そういえばパンドラが見当たらない。まあしたたかな彼女の事だからうなぎに食べられてはいないだろうけど。
モモが甲板に降りて来て、エリに加勢する。一気に持ち直し船は水平に戻る。
「アイ、あんたは私たちのサポート。ハルト、ごめんけど後ろ任せたわよ」
「うん、任せて。頑張るよ」
久々にスライム以外と戦わせてもらえて、ちょっとテンションが上がる。
「分かったわ。間違ってエリに当てないように頑張るわ」
「ちょっと、それってわざと狙わない限り当たんないでしょ。冗談でも止めてよね」
「それってフリ、フリよね!」
エリとアイはふざける余裕が出来たみたいだ。けど、多過ぎだろ、うなぎ。僕は目の前のを潰したり蹴り込んだりで振り返る余裕が無い。手助けして欲しいけど、後ろは三人でどうにかみたいだ。その半分を一人で対処してる僕って頑張ってる?
「もおーなかがパンパンよ」
モモ? 何言ってんだこんな時に。お腹がパンパンどうでもいいよ。フルーツの食べ過ぎだろ。
「いやー、我慢できないわ」
何が我慢出来ないんだ? お腹がパンパンで我慢出来ない? もしかして口に出せないような事? 少し気になるけど、振り返る余裕は無い。
ビジュッ。ブジュッ。ブチブチ。グジュッ。
うっ、なんか水っぽいような、何かを引きちぎるような音。これヤバくないか? 人として。
ザパーン、ザパーン、ザパーン。
海に何か落ちる音? 訳分かんないな。
「出た! 出たわーーっ! みが、みがでたわーーっ!」
モモの歓喜の声が響き渡る。
『み』、『み』が出た?
もしかして、空砲じゃなくて、実弾を発射してしまったのか? 確かに女性は便秘な人が多いという。けど、戦いながら『み』を出してしまってそんなに嬉しいのか? あんまりにも変態。人として最悪過ぎるだろ。
なんとか僕の前のうなぎは駆除した。見たく無いけど、一応仲間だし見ざるを得ないだろう。嫌々振り返った僕の目に入ったのは、黒い塊を満面の笑みで持ち上げてるモモ。うなぎは壊滅したみたいだ。それにしてもデカい。素手で触ってやがる。汚すぎる。
「出た『み』、なのか……」
「そうですけど。どうしたんですか? ハルト、そんなに大っきい目ーして」
デカい。確かにモモはいっぱい食べてたけど、あんなのが人から出るものなのか? 奴は『み』を持って近づいてくる。
「くっ、くるなー」
つい叫ぶ。
「どうしたのハルト」
エリが『み』に手を伸ばす。
「あーーーーっ」
エリもそっち側なのか?
「瓜みたいね。黒いから黒瓜ね」
えっ、『み』ってもしかしてフルーツの『実』?
「モモ、お腹がパンパンって言ってなかったか?」
「んー、あ、船の中が死んだうなぎでパンパンって言いましたよ? どうかしました?」
「そうだよねー。なんでもないよ。でー、何が我慢できなかったの?」
「もう、うなぎの死骸がヌルヌルベチョベチョで、私こういうの苦手なんですよ。綺麗さっぱり千切って海に放り込みました!」
やっべー。恥ずかしい勘違いしてしまった。この話はこれくらいにしとこう。人格疑われそうだし……
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