第百八十一話 過ぎゆく日々
それにしても凄いものを見た。エリは手足以外にびっしりと目が、モモは手以外緑色の鱗が生えていた。魔法のタトューだと知って安心したけど、エリは実は化け物、モモはなんか新しい種族に進化したのかと思った。エリが化け物だったなら、あの強さは納得出来る。それにモモはスキルで羽根が生えるようになったくらいだから、進化して次は鱗くらい生えてもおかしくは無いと思う。それにしてもタトューか。まあ、僕はあんまり興味はない。したいとも思わないなー。正直、街にもバリバリタトューの人とかいるけど、見るとビビってしまう。
パンドラとエリたちはよく戦闘訓練してるけど、僕は混ぜてもらえない。一度エリに僕も模擬戦したいってお願いしたんだけど、「戦いはあたしたちに任せて。本当にどうしようも無い時は助けてね」との事だった。けど、エリでどうしようも無い状態って、僕が居ても何にもならないような? けど、みんな頑張ってるから僕も少しでも強くならないと。洗濯は女の子たちが交代でやってくれるけど、ご飯とお風呂は僕の担当だ。これじゃ家政婦さんのようなものだ。せめてもと、毎朝早起きして手作りの石の剣で素振りをしている。それと、今までの戦いを思い起こしてシャドー剣術もしている。こんなので強くなれるかは分かんないけど、何もしないよりはマシなはず。会話から察するに、どうもみんなはメキメキと強くなってるらしい。けど、その方法を聞いても、パンドラとの模擬戦って答えるだけで、なんか要領を得ない。何か隠してるのかも。だけど、女の子たちが隠してるって事はなんかデリケートな方法なのかもしれない。だから、そこまでしつこくは尋ねられない。
そんなこんなで、あっと言う間に日々は過ぎ、あと一日でここに来てから一ヶ月。悪夢のようなドラゴンが帰ってくるまでにもう日が無い。このままだと明後日が戦いの日になる。大事を取って、明日にはこの島を出る事になった。
僕が居た1年は一人だったから、少しでも早くここから出たかったけど、女の子三人とパンドラとの生活はなんだかんだで楽しかった。毎日何かのトラブルや新しい発見もあって、正直ドラゴンなんかほっといてここで生活したいとも思い始めた。けど、来る前にエリが準備した食料とかももうほとんど無く、どっちにしても一回はポートカインの街に帰らざるを得ない。ぼく達が乗って来た魔道船は明日来る。それまでに決めないといけない。ここに隠れ住むか、ドラゴン討伐に同行するか。どれだけ考えても答えが出ないので、明日、成り行きに身を任せてみようと思う。
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