第百七十五話 中間報告アイ 後
すみません、遅れました。疲れて眠り込んでました(>_<)
「なんであんたそんなに強くなってるのよ」
あたしはアイに尋ねる。警戒しながら。奴は鑑定がバグってないならあたしより力が強い。
「そりゃ決まってるでしょ。トレーニングしたからに決まってるでしょ」
嘘だ。毎日鍛えてヤバいくらいのマッチョでも力が20くらい。鍛えて力が100を超える訳がない。
答えは一つしかない。なんで、力のリンゴの数が少なかったのか謎が解けた。こいつが隠れて食べてたんだ。やられた。リンゴ少ないなーって思い始めた時点で調べてたらここまで酷くならなかった。
「アイ、その力、フルーツを隠してて裏で食べてたんですね」
モモも気付いたようだ。アイは口の端を上げる。
「やっと気付いたの? ふつーもっと早く気付くでしょ。ドロップ率が悪いなーって」
うん、その通りだ。特にあたしが妖精と訓練してた時が少なかった。フルーツを隠してて、あたしたちが居ないとこで妖精に祝福してもらって食べてたんだろう。けど、少し計算が合わない。いくらアイでもあたしたちが少し不自然だなーって思うくらいしかフルーツを取ってない。ちょっと収穫少ないって思うくらいで、明らかにおかしいとは思わなかった。だからそこまでフルーツを盗み食いしてないはずなのに、数値が高すぎる。
「あんた、まだなんか隠してるでしょ。明らかにステータスが上がり過ぎよ」
「何の事かなー。あたしが隠し事なんかするわけないでしょ」
「ふざけないで、あんたそもそもステータス上がってるの隠してたでしょ」
「それはちょっとした出来心よ。アンタたちのさっきの顔を見れただけで十分よ。これからはちゃんと盗み食いはしないから」
あ・や・し・い。この性悪娘がやたら物わかりがいい。何か隠してる。何を隠してる?
「じゃ、パンドラが待ってるから早く行こ」
良く考えろ、あたし。よりステータスが上がってると言う事は、フルーツをたくさん食べたか、フルーツでの上昇率を良くしたか。あたしが思ってるよりフルーツがたくさんドロップしてたなら、ハルトが何か気付くはず。と言う事は。
「アイ、フルーツで二ポイント以上ステータス上げる方法知ってるでしょ」
「えっ、読んだの心を?」
あっ、当たりだ。まじか、と言う事は妖精の祝福にはまだ上がある?
「お前たち、私をここまで待たせるなんていい度胸ね」
あ、都合良く妖精がやってきた。
「待たせてごめんなさい。ねぇ、パンドラ、もっといい祝福って一日何回使えるの?」
「三回よ」
「何素直に答えてんのよ。私たちの間で秘密って言ってたじゃん」
「えっ、お前が他の奴にも言ったんだじゃないのか?」
「何口車に軽く乗ってんのよ。しょうが無いわね。パンドラ、一発かましてやって」
アイはスカートの中からリンゴを1個出す。まだ隠し持っててやがった。
「なんでお前に命令されないといけないのよ。必殺アルティメット祝福」
妖精の手から七色の光りが広がりながら放たれる。虹、虹だわ。綺麗。それがリンゴに吸い込まれると七色のケバケバしいリンゴになった。
「帰すわよ。食べなさいよ」
え、あたしコレ食べんの? なんか絵の具ぬったくったリンゴみたいだ。まあ、けど、祝福って言ってたし、不味くは無いだろう。
しゃくっ。
あ、甘い。ゴールデンよりもっと甘い。気がつくとリンゴの芯まで食べていた。あ、ステータスはと。え、3、力が3も上がってる。これを一日三回? そりゃ力が100超えるわ。アイが盗み食いしてたのはちょっとムカつくけど、元々身体能力も上げる予定だったからいっか。それより、三倍祝福は有り難い。頑張ればハルトに追いつける。
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