第百七十三話 中間発表モモ
「モモ、次はあんたの番よ」
あたしはモモのステータスを見ながら紙に書いていく。
『モモ ヒューマン 17歳 レベル18
力 62
器用 58
敏捷 49
耐久 109
知力 39
魔力 41
ヒットポイント 150
マジックポイント 35
スキル 有翼化 レベル5
格闘術 レベル4
聖魔法 レベル2
三刀流 レベル5
魔纏術 レベル10』
げっ、やり過ぎた。耐久とヒットポイントを重点的に上げただけじゃなくバランス良く成長してもらったからかなり強くなってる。それより、耐久119ってあたしの攻撃が通らないじゃないの! よく見るとトータルじゃドラゴンより強くなってる。
「あんた、パンドラとの模擬戦、今まで手を抜いてたの?」
このステータスなら倒せるはず。
「そんな事しないですよ。あの邪悪な妖精相手に手を抜く訳ないじゃないですか」
「そうよ、エリ見なさいよ。力が足りてないのよ。攻撃食らわないし、食らってもかすり傷だったけど、モモの攻撃も効かなかったのよ」
びっくりしてうっかりしてた。うん、これならあたしの攻撃は通らないけど、モモの攻撃もドラゴンやあたしには通らない。けど、奴はその事に気付いている。ムカつく薄笑いがそれを物語ってる。よく見ると戦闘訓練のお陰か、スキルのレベルも上がってる。それだけ妖精との模擬戦は有益だったって事だ。ん、三刀流レベル5?
「あんた、格闘と魔法のスキルが上がってるのは分かるけど、なんで三刀流のが一番上がってるのよ。もしかして、あたしが見てない時に使ってたの?」
あれはダメだ。一刀は右手、二刀は左手までは普通だが、三刀目は胸の谷間で挟んで自在に振るうという汚れ芸人のようなスキルだ。別にモモが変態として目立つのはいつもの事だから良しとして、前にそのスキルを披露した時のハルトの顔が良ろしくなかった。まるで、大好きなトランペットが欲しくて楽器屋のショーウィンドーをキラキラとした目で眺めてる少年のような。まあ、そんな少年見た事ないけどイメージよイメージ。少し上気した夢見るような表情で見ていた。あれは優れた剣士に対する憧れと、奴のブツの大きさと挟み掴むという破廉恥への羞恥だったんではないかと思う。それ故にあたしはモモに三刀流は禁止したはずなのに、このおバカ娘は何やってるんだろう。女の子なんだからもっと自分を大切にして欲しい。
考える事一瞬、モモが口を開く。
「いえ、使って無いですよ。ですけど、毎日みんなが寝静まった時に素振りしてました。ドラゴンとの戦いは熾烈になるだろうと思って、少しでもどんなスキルでも何かに役立つかもと思って修行してたんですよ」
それにアイがボソッと呟く。
「……役立つ事ないわよ。宴会芸くらいでしか」
あ、モモ、少し凹んでる。レベル5って事はかなり血のにじむような素振りしてたんだと思う。無駄無駄よっ!
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