第百五十五話 狩猟再(アイ視点)
うう、ストック完成! って思ったのに、癖ですぐアップしてました。
「なんかなつかしいなー。場所はすぐそこだから。足下には気をつけてね」
獣道以下の道を私は遅れてついて行く。ハルトはまるで猿みたいにひょこひょこ障害物を越えて行く。エリは王女なのにハルトに全く遅れる事が無い。王女って城からほとんど出ない生き物じゃないのかよ。モモなんて低空飛行で難なく進んでやがる。羨ましい。私にも羽根があれば。
すぐじゃねーよ。
なんか丘みたいなのを二つくらい越えても到着しない。私はシティガール。街にはでの移動は乗り合い馬車だし、街の中央には必要な施設が集まってるからあんまり歩く事は無い。なんか馬鹿にしてる訳じゃないけど、田舎に住んでる人って馬が移動手段だったりするから距離感バグってるのよね。昔田舎の友達ん家に遊びに行って、すぐそばに綺麗な湖があるとか言われて歩いて行ったら30分近く歩かされた記憶がある。すぐじゃねーよ。
いつの間にか、私はなんとかみんなの背が見えるくらい遅れてしまってる。みんなが止まって待ってくれている。
「ごめん、遅れて」
「うわ、アイが謝ってる。雨でも降るのかしら」
エリの言葉にイラっとする。
「アンタじゃあるまいし、自分が悪い時は謝るわよ」
ハルトが間に入ってくる。
「まあまあ、落ち着いて。アイは歩き慣れてないみたいだから、そうだ、モモ背負ってよ」
「ええーっ。ハルトおんぶしてよ」
「いやいや、さすがに女の子を背負うのはちょっと」
「大丈夫、私は気にしないから」
「黙れまな板。主様はお前の貧しいブツが背中に当たるのが不愉快って言ってるのよ」
「パンドラ、アンタは動物のようなものだから知らないと思うけど、人間様の世界にはコンプライアンスというものがあって、人の容姿に対する暴言はモラハラって言われて罰せられるのよ。アンタも人間社会で生きていきたいのなら、言葉遣いを考えなさい」
「ぐっ」
やった妖精を黙らせた。ふふっ。今度からコイツにはコンプライアンスアタックで対応しよう。
「コッコンプライアンスくらい私だって知ってるわよ。それなら、お前のはセクハラよ。男の子の背中に貧しい胸を押し当てるのはハラスメントでしょ」
「はいー。貧しい胸言いましたねー。モラハラ。ハルト、こんなモラハラ妖精、自然に返そうよ」
「はいはい、そこまでそこまで。ほら、アイ、乗りなよ」
なんと、ハルトが私に背中を向ける。もしかしてウィナー!
「ありがとー」
私は即座にハルトの背中に飛び乗る。
「アイって軽いなー」
メモリアルゲット。好きな男の子におんぶして貰って「軽いなー」って言ってもらう。ふふっ。私ヒロインなう。
「ああーっ」
胸デブが羨ましがってる。
「アイだけずるいー」
性悪姫も。
「じゃ、アイを気にしなくてもいいから飛ばすよ」
えっ、今、お腹の中がぐわんって揺れ……
「おばぱばぱばばばぱばばばばぱー」
ヤバい。加速やばすぎ。口を開けても風が入って来て言葉にならない。まるで高い所から落ちてるみたいだ。お腹の中がヒュンってなる。ヤバい。さっきのお菓子が逆流しそう。よかったさっきトイレ行ってて。そうじゃなかったら間違いなくやっちまってた。しっかり捕まってないと体がなびいてしまいそうだ。うげ、まだ早くなるの。さっきハルトはすぐって言ったけど、これならすぐだわ。やばい。これが素早さ200越えの世界!
「はぁはぁ」
私は洞窟の前の地面に寝っ転がってる。足がカクカクして立ち上がれない。さっきご褒美だと思った自分を呪いたい。
「大丈夫? アイ」
「大丈夫よ。乗り物酔いよ。ハルト酔い。ハルトに酔っちゃった」
エリたちはついてこれてない。2人っきりの大チャンス!
「ごめんねー。加減無さすぎだったねー」
「主様、寝言を言ってるくらいだから元気ですよ」
あ、妖精もいたんだった。
「もうっ。置いてかないでよー」
もうエリが来やがった。コイツも人間止めかけてるな。
「やっと追いつきました」
モモも早い。うん、私以外全員ヤベー奴だわ。私は生きてここから帰れるのだろうか?
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