第百五十二話 肩
すみません遅くなりました。昨日も夜遅くまで働いてて(>_<)
「それよりさ、家、家拡張したんだよ。一ヶ月も滞在するからね、欲しいでしょ個室。やっぱり一つの部屋じゃまずいよね」
僕は強引に話を逸らす。なんか女の子って家とかインテリアとか好きな人多いから、これで少しは元気になってくれれば。
「えっ、別にみんな一緒の部屋でも問題無いんだけど」
エリが血走った目で僕を見る。すっげー眼力だ。なんか悪い事言ったかな? 土下座するべきか?
「お前がそれで良くても主様が嫌って言ってんのよ。空気読めよ。カスが。主様は、お前らブタ共と一緒の部屋で空気吸いたく無いって言ってんだよ」
そのエリの前にパンドラが立ち塞がる。そこまで言って無いって。確かにそばでエリが寝てたら、寝ぼけて殴られたりするかもって思ってたけど。
「えっ、ハルト、そんな事思ってたんですか?」
モモが泣きそうな顔で見てくる。アイはその後ろに隠れて捨てられた猫のような顔を覗かせている。
「そんな訳無いじゃん。パンドラが言ってるだけで、僕はみんなの事をブタなんて思った事無いよ。パンドラ。言わない。みんなの事をブタって。仲間なんだから、仲良くする」
「かしこまりました。主様がそうおっしゃるのなら。では、クズとデブとビッチでいいですか?」
三人がキッと妖精を睨む。
「あーれー。負け犬なのになんなんですかぁー。その目。この世は力が正義ですー。悔しかったら私を倒してみなさいよー。主様からしたら塵芥な私にコテンパンなお前らは塵芥以下。ゴミムシ君。明日からお前らの名前はゴミムシ君ねー」
「ちょっとパンドラ、いい加減にしなよ」
さすがに言い過ぎだ。
「いいのよハルト。私達はゴミムシで」
えっ、なんでエリ止めるの?
「この性悪妖精はこう見えてもハルトの眷属。根っからの邪悪って訳じゃないわ。多分。、なんだかんだで私達の事を思って言ってるのよ。多分。私達の強くなりたいって思いが足りないから煽って発奮させようってしてるんだと思う。多分。今の私達だとハルトの足下にも及ばないから、少しでも肩を並べられるように強くなってやる。そしたら、そこに漂ってる邪悪な生き物を瓶に詰めて海の底深くに沈めてやるわ」
なんか心を落ち着けようと自分自身に言い聞かせてるみたいだな。けど、最終的にはパンドラにリベンジするつもりなのか?
それは置いといて、どうしてか分かんないけど、パンドラはエリよりも強いみたいだ。まあ、エリは直接攻撃のグラップラーのようなものだから、相性の問題かもしれない。なんかパンドラはでっかいドラゴンに変身もできるみたいだし、空も飛べるから遠距離攻撃とか魔法とかが得意なのかも。パンドラは僕を主様って慕ってくれてるから、今後肌身離さずパンドラを連れてたら、なんかあった時に僕を守ってくれるかも。
「じゃ、とりあえず家に行こう。あ、パンドラ、嫌じゃなかったら、頭でも肩でも僕の好きなとこに乗ってよ」
「はーい。お御髪が乱れたらいけませんから、肩に失礼します」
パンドラは僕の肩にちょこんと座る。口を開かなければ可愛い。ん、なんかみんなうらやましそうにパンドラを見てる。なんて言うか、いいよね。肩にオウムとか鷹とか妖精が乗ってるのって。特にパンドラはめっちゃ可愛いから。一般人とは違う冒険者とか英雄って感じだ。ま、僕自身は一般人と何ら変わんないけどね。けど、見た目は大事だ。
「ハルトっ。肩片方空いてるよね。私も座っちゃダメ?」
アイが変な事言ってくる。えっ、パンドラを肩に乗せたいんじゃないの? そっち? まあ、アイは小っこいし痩せてるから出来ない事は無いとは思うけど、さすがに女の子のお尻が肩に当たるのは嬉しいけど勘弁して欲しい。そんなんで街を歩いたら、痛いカップルみたいだ。
「ごめんけど、アイは大っきいから肩に乗らないよ」
「ならなら、私は飛べるから重くないですよ」
モモまでおかしな事を。確かにモモは羽根が生えててオウムとか鷹みたいではあるけど。
「まあ、そうだけどさ。肩に女の子のっけてたらおかしいでしょ」
「おかしいも何もここは無人島だから誰も見てないでしょ。あたしはバランス感覚いいから邪魔にはならないようにするわ」
エリまで。邪魔になるに決まってるじゃん。どうしたんだろ?
「お前たちには主様の肩は十年早いわ。ま、十年経ったら私と違ってババァだから主様が嫌がると思うけどね」
パンドラが僕の肩の上でふんぞり返ってる。まるで世界征服でもしたかのようなドヤ顔だ。そもそもなんで僕の肩なんかにそんなに興味あるんだろう? もしかして肩に乗るのが王都ででも流行ってるのか?
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