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 第十四話 提案


「おーい。誰か居ないかー!」


 僕は島の桟橋から大声で叫ぶ。今日でエリが来てから7日目。エリを探しに船は来なかった。


「誰か居ないのー」


 毎日の日課にエリもつき合ってくれるようになった。そして海岸を見て回って家に帰る。毎日朝食は軽めにフルーツだ。僕は数個しか食べないけど、毎朝エリは10個近く食べる。昼と夜は魚も食べるんだけど、更にフルーツを10個くらい食べる。特にミカンが好きみたいで真っ先に食べ尽くした。ミカン食べ過ぎたら手が黄色くなるって本当だったんだな。そして今は、『まずは物理』とか呟きながらメインはリンゴで他のフルーツを食べている。フルーツの在庫もうほぼ無くなった。『まずは物理』ってもしかして、昔の偉い錬金術師が高い塔からリンゴを落として万有引力の法則に気付いたという話の事なんだろうか? エリはあまりにも必死にフルーツを食べるから聞くに聞けない。

 朝食も終わったから、エリに今後について切り出す事にする。


「エリ、船、来ないね。そろそろあの舟でここから抜け出そうよ。修理も終わってるし」


 なんか、エリは島から出る話をすると嫌な顔をするから1週間待った。けど、もう限界だ。


「そうね」


 やっぱりエリは気乗りしないようだ。なんでだろう? 国に帰りたくない理由があるのか? 


「けどさ、ハルト、海に出たら方向が分からないわよ。それにその前にどっちに向かったら大陸なのか分かんないわ」


「おぼろげだけど、頭の中に地図はあるよ。北に向かえば大陸のどっかに突き当たる。あと、方位は、昼は日時計、夜は星を見ればだいたい北は特定できるよ」


「その前に、舟をどうやって漕ぐの? オールも何もないわよ」


「それは、僕がなんとかする。その前に1ついいかな」


「ん、何よ」


「もしかして、エリには帰りたくないなんか訳があるの?」


「……」


「別に言いたく無いなら、言わなくてもいいけど、僕で良かったら力になるよ」


「……狙われてるかもしれないの」


 狙われてる? エリは可愛いからストーカーか何かいるのか? 


「頼り無いかもしれないけど、僕が守るよ」


 1週間も一緒に暮らした。色んな話もした。僕の中では一番仲が良い友達だと思っている。少しは友達以上にも成りたいって気持ちもあるけど、あまりエリは自分の事は話さない。もっと一緒に居たら、もっと信頼してくれるかもしれない。

 エリは何も言わない。僕は奥からあるものを取ってくる。


「街についたら、これを付けよう」


 1つをエリに渡し、1つは僕が装着する。しなやかな木を削って作った目元を隠すマスクだ。


「僕は街に戻ったら、追放した仲間に狙われるかもしれない。強くなるまで、これで変装しようと思うんだ。エリもこれで会いたく無い人から隠れられるんじゃないかなー」


 エリはマスクに手を伸ばすとその紐を頭の後ろで結んで装着する。


「ありがとう。どう? 似合う?」


「うん、どっから見てもエリって分からないよ」


「これで、なんとかなるかもね。あたしもハルトを守る! ハルトもあたしを守ってね。じゃ、脱出計画、もっとしっかり考えましょ」


 そう言うと、エリは微笑む。マスクをしてても可愛い。


 


 読んでいただきありがとうございます。


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