第百三十七話 空
追い着けないです(>_<)
「じゃ、あたしはリンゴ。アイはバナナ、モモはミカンは確定ね」
エリが腰に手を当てて言う。僕はどこを見ればいいんだ。エリもモモも動いたら触れてしまいそうな距離だ。なんて言うか、僕が居る事全く考えて無いよな。空気扱いみたいだな。どうでもいいけど、僕にはフルーツは分けて貰えないのかな? 集めるのはスキルがある僕だと思うけど。
「僕もリンゴ食べたいなー」
驚いてエリが僕を見る。
「まだハルト、リンゴ食べ足りないの? ハルトにリンゴは十分過ぎるわ。これ以上リンゴ食べたら生活に支障をきたすわ。ただでさえも武器を壊しまくるのに」
そうか、僕はリンゴを食べ過ぎてるのか。まあ、島で沢山食べたもんな。あの時は皮ごと種ごと食べてたけど、種に毒があったって知ったのは帰って来てからだ。もっともリンゴ100個分くらいの種を食べないと中毒にはならないらしいけど。そもそもリンゴ100個分の種を集めるなんて至難の業だ。誰か試した人が居るのだろうか?
あ、そうか!
リンゴを食べると生活に支障をきたすって、エリは僕が丸ごとリンゴを食べて種まで食べるのを知ってるから健康を心配してくれてるのか。ん、島ではエリに僕はリンゴ食べてるのを見られたこと無いような? リンゴはエリが全部食べたよな? あ、その前にエリも皮ごと種ごと食べてたような? 多分、僕同様幼い頃は苦労したんだろなーって感じたのを覚えてる。
けど、武器を壊すのは無関係だろう。僕が武器の扱いに慣れてないのが原因だよ。なんで今言うんだろう?
「そうですよ。ハルトは凄いんですから、フルーツは全部、私たちに譲ってください」
モモが僕を覗き込んでくる。胸からニュッと顔が生えたみたいだ。凄い? 僕の何が? なんか女の子って『凄ーい』ってよく言うけど、それってただ褒めてるだけだもんな。まあ社交辞令だろう。
「僕はフルーツはそこまで好きじゃないからいいけど、なんでそこまでフルーツにこだわるの?」
更にもう一つ影が差す。アイだ。女の子3人が上から無言では僕を覗き込んでる。なんかダメな事言った?
「エリ、ハルト、まだ分かってないみたいよ」
アイはそう言うけど、そんなん分かんねーよ。
「なんか、可哀想ですよ。そろそろ教えたがいいんじゃないですか?」
残念生物に憐れまれている。なんか屈辱。
「ダメよ。ドラゴンと戦うまでは。あんたたち、ここで見切られたら行くとこ無いでしょ」
やっぱりエリは教えてはくれないのか。
「そうですね。ハルトは今のままがいいですし」
フルーツの意味を知ると僕が変わるのか?
「そうね。メンタルクソ雑魚のままがいいわよね」
言い方……まあ、その通りと言えばその通りなんだけど、今目の前で美少女たちが水着で無防備立ってるのに、それをガン見する勇気も無い。真ん中の空を見てる。空、綺麗だな……
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