第百三十六話 タンク
すみません。体調不良で遅れがちです。どうにかしてストックして、サイクルを戻します(>_<)
モモを見ると、立ち上がって翼をばさっ広げる。
「立ち位置も何も、見ての通り私は天使ですよ。パーティーでのアイドルポジションですから、別にこれ以上は望みませんよ。それに、みんなで均等に分けて、ステータスを均等に上げた方が戦い易いんじゃないですか?」
「そうね、普通の戦いだったら、バランスが取れた万能型が多い方が便利だわ。けど、今回相手にするのは格上のドラゴンよ。みんな役割を決めて何かに特化して修業しないと、全く役には立たないわ。あたしはどうにかしてドラゴンにある程度攻撃が通るようにしたいし、アイには魔法の威力を上げて欲しい」
まじか、冗談かもと思ってたのに、エリは本気でドラゴンと戦うのか。
「だから、一応アンタにも何したいか聞いてるのよ」
「ええーっ。急に言われても分かんないですー」
そう言うと、モモは胸を動かしてストローを口元に運ぶ。モモは自分をアイドルって言ってるが、最下層の脱ぐ一歩前の崖っぷちアイドルにしか見えない。昔王都であったと言う伝説のアイドルの水泳大会に出てたらポロリ要員だろう。
ガタンと音がする。エリも立ち上がる。二人とも近づいてくる。なんて言うか、僕を挟まないで欲しい。女の子の下からのアングルは刺激的過ぎる特にモモなんか顔が見えない。
「モモ、乳でミルクを飲まない。下品が天元突破してるわよ。そうね、モモの役割はタンク。肉盾確定ね。ミカンを沢山食べるのよ」
「……胸デブ乳牛タンク」
またアイが悪口を呟く。モモは温厚だけど、普通の人なら激怒するんじゃないか?
僕でもタンクって言葉くらいは分かる。パーティーで攻撃を受け止めるのを担当する役割だよな。けど、そのタンクになるのとミカンを食べるのになんの関係があるのだろうか? もしかして『みかん』って隠語で、女の子にしか分からない隠された意味でもあるんじゃないだろうか?
「ええーっ。タンクって地味じゃないですか。私も攻撃したり、魔法使ったりもっと目立つ事したいですーー」
「何言ってるのよ。戦闘ではタンクが一番目立つわよ。最前線で攻撃を受け止めるから魔物からは注目されっぱなしだし、後ろの仲間からも常に注目されるわ。それに、熟練のタンクがいると、パーティーが全く怪我しないから、低レベルのパーティーでも高位の魔物を狩れたりするわ。それに、みんなを守るために戦うってモモにぴったりでしょ」
「みんなを守るため。うん、なんか素晴らしいです。分かりました。ミカンを食べまくりますっ!」
なんか単純だなぁ。けど、みんなを守るって言葉で発奮するモモは嫌いじゃない。けどなんでミカン?
「……ミルクタンク」
アイが呟く。なんか気がついたらモモの二つ名はそれになってそうだな。
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