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 第百三十話 失恋


「無いのは嫌なの」


 イリスが話す。さっきまでとは違い、良く通る低めの声だ。


「そんなにお金と力がダメなの? ハルト、私には村で憧れてた人が居たわ。とっても綺麗だったお姉さん。大好きな人と結婚して幸せそうだった。けど、旦那さんの稼ぎは良く無かった。変わっていったわ。三年経ったらその人は別人になってた。子供も生まれてギリギリの生活だったから、化粧も止めて、服も着られるだけのもの。どこにでも居るこ汚いおばさん。村で一番の美人だったのに。綺麗には沢山お金が要るの。私は綺麗なままでいたい」


 その言葉にエリが俯く。共感するとこでもあったんだろう。けど、僕は


「イリスがそう思うのは構わない。けど、僕はイリスとは違う。どこにでもいるおばさんでもいいじゃない。その人は幸せだったんじゃないの? お金が無くて見た目が変わったとしても、僕はその人はとっても綺麗だと思う。だって、大好きな人と一緒になって子供まで出来てるんだよ。幸せじゃない訳がない。こ汚い? イリスは自分を磨くのが一番って思ってるかもしれないけど、その人にはそれより大事な事が出来たんだと思うよ。別にイリスが悪いって言ってる訳じゃない。ただ、僕とは違うってだけだよ」


 なんかしんみりな空気になってしまった。


「そう。わかったわ。やっぱりあんたは嫌い。大っ嫌い。豆腐の角に頭ぶつけてもっと馬鹿になればいいのよ。あんたなんかこっちからお断りよ! ずっと女の子とつき合う事なんか無く一人で生きていけばいいわよ。そうなったら、私の召使いにしてあげてもいいかなー。あーあ、どっかいい男居ないかなー。じゃあね」


 なんか知らんが、告白しても無いのに振られたのか? まあ、昔はイリスの事好きだったからこれでスッキリしたとこもある。それにしても言ってる事が訳わかんねーよ。


 イリスは僕に背を向けると去って行った。一回だけ振り返った。


「あたしの勝ちなのかな?」


「勝ち負けも何もモモが勝手に言ってただけだろ」


 モモがパタパタと空からおりてくる。


「なんか奥歯に物が詰まったような感じですね。なんとも言えないですね。ハルト、追っかけなくていいんですか? 私の勘だと、追っかけたら仲間になるかもですよ」


「モモ、何したいんだ? アイツを追っ払いたかったんじゃないの?」


「あ、それありかも」


 アイが会話に入って来る。


「羽根が生えたヒールを一回しか使えないヒーラーより、絶対イリスの方が役立つわよ。シルバーだし。けど、そうしたらヒーラーは二人も要らないわよねー」


「えっ、私をクビにする気ですか? そうですよ、イリスなんか仲間にしない方がいいですよ」


 帰途につくイリスに何人か男が群がってる。まあ、アイツは性格は良くないけど、可愛いもんな。


「はいはい、じゃ、今後の事を考えるわよ」


 エリがパンパンと手を叩く。うん、そうだよ。ドラゴンの事どうするかだよ。


 読んでいただきありがとうございます。


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