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 第十二話 絶景 (エリ視点)


「うわ、すごーい」


 あたしの目の前にはこの島の全貌が広がっている。ここが島の一番高いとこで、周りを見渡すと、途切れない水平線に囲まれている。青い空に青い海、なんか見てるだけで心が癒される。そして、少し下りたとこに湯気を上げている岩がある。不器用なお椀のような形をしてて、お湯を湛えている。火山という火を噴く山の近くではお湯が沸く泉、温泉があるって聞いた事がある。もしかして、それなの?


「ねぇ、ハルト、あれ、なんなの?」


「あれ、お風呂だよ。エリに入って貰おうと思って沸かしたんだョ」


 えっ、お風呂? 入りたい、入りたい。髪はなんとか乾いたけど、塩でベタベタする。けど、岩の風呂?


「あれってどうやって水替えてるの?」


「ん、ひっくり返してだョ。さっき汲んできたばっかの水だョ」


 ひっくり返すって……あれどれくらいの重さあるんだろう。聞くだけバカだった……

 けど、この絶景の中でのお風呂。空が夕焼けに染まったり、星に囲まれて入ったりしたら最高だと思う。


「じゃ行こう」


 ハルトに付いて岩風呂に近づく。人が二三人は入れるくらいの大きさで、下に窯があってそこで火を焚いて温める形になっている。入り易いように木の梯子がかけてある。平たい石がそばにあって、そこにボロボロのシャツが置いてある。


「あ、ボク、下で待ってるから、何かあったら呼んで。すぐに来るから。そのシャツ、良かったらタオル代わりに使ってョ」


 そっか、タオルが無いんだ。


「そのシャツって、ハルトの一張羅なんじゃないの? そんなの使えないわよ。ハルトはいつもどうしてるの?」


「ん、ボクはいつも火で乾かしてるョ」


 なんか想像出来る。多分、直火ですぐに濡れてる体も乾くんだろう。常人には無理だ。


「なんか悪いけど、使わせて貰うわ」


「じゃ、ボクは行くから。今が丁度いい温度だと思うから」


「ハルト、ありがとう」


 ハルトは元来た道を駆けてく。速い。さっきはあたしに合わせて歩いてくれてたんだ。

 ハルトはお風呂が適温って言ってたけど信用ならない。指先炙っても火傷しないような人だから。まず岩風呂にかかってる梯子に登ってお湯の温度をみてみる。良かった、適温。もうすぐに入れる。ハルトのシャツが置いてある岩にココブラと腰蓑と靴を脱いで置く。そして全裸で岩風呂の梯子を登る。開放感がヤバい。誰も見てる人が居ないのは分かってるけど、なんかドキドキする。こんなお風呂に入るのは初めてだ。良かった生きてて。嵐の中海を震えながら漂ったのを思い出す。諦めずに生き延びたあたしに神様がいやハルトがご褒美をくれたのかも。あたしは右足を岩の浴槽に入れる。


 あ、あったかい。 


 あたしの顔が自然とほころぶ。


 読んでいただきありがとうございます。


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