第百十九話 とどめ
予約ミスりましたm(_ _)m
「一気に畳みかけるわよー!」
エリの声が聞こえてくる。前線に立ってる女性は少ないので、その声は良く響く。その声が疲れて動きが鈍ってきた冒険者と騎士たちの動きを持ち直す。
長い時間、いや、そう感じてるだけで実際はもっと短いだけかもしれない。戦いは途切れる事無く続いた。
ドラゴンの動きはさらに遅くなり、力尽きかけてるのかその前足が上がる事も無くなり、今では四肢を投げ出しやられるがままだ。そして、モモの激しい突撃でその頭が大きく揺れ地面に落ちる。頭に群がる戦士たち。ドラゴンは頭を動かし弱点であると思われる目への攻撃をなんとか避けている。さすがにもうここからドラゴンが復活する事は無いだろう。僕も見てるだけじゃなく何か役に立たないと。木刀を手に駆け出そうとする。ん、ドラゴンがビクンと動く。一種ドラゴンへの攻撃が止まる。ドラゴンの大きな目が開き瞳がぐるりと動く。え、目が合った? こっちを見ている。なんで? 爛々と輝く瞳には力強さを感じる。その目は閉じ、頭がゆっくりと横に倒れていく。僕は接近戦に参加するのを止める。何かあるかも。その時には僕のヒールが役に立つはず。
他にも気になってるのは、ドラゴンはガツガツやられてるけど、血を流してない。黒い泥みたいなものがこさげて落ちるだけだ。あれが血液なんだろうか? いや、伝説とかでは、竜の血を浴びたり飲んだりする話がある。話の方が間違ってるのか?
「総員、残りの魔力を全て打ち込め!」
魔道具まみれの爺さんが叫ぶ。後衛の魔道士部隊の先頭に立っている。魔道士たちから、炎、水、岩石などが立て続けに打ち込まれる。
最終局面だ。多分これで攻撃魔法は打ち止め。前衛もエリ以外疲労困憊に見える。
ん、王子様がドラゴンに背を向けて走り出す。
「じい! とどめだーーーー!」
ん、とどめ? なんか嫌な予感がする。もしかして爺さんなにか隠し球でも持ってるのか?
王子様の声に騎士たちが蜘蛛の子を散らすようにドラゴンから離れる。武器を放り出してるヤツさえいる。
爺さんが仁王立ちで両手を大きく広げ空を見上げている。その前には地面に刺さった杖。空気が震えている。爺さんが見てる空の先に星。昼間なのに星?
「みんな、今すぐドラゴンから離れてーーっ!」
珍しくエリの焦った声。ドラゴンから離れながら地面に疲労で這いつくばってる冒険者を片手に一人ずつ引きずって行く。大の大人二人を手にしてもそのスピードは変わらない。相変わらずの化け物っぷりだ。そのエリの剣幕に、他の冒険者たちもドラゴンから離れる。
空から星が落ちてくる。光の点だったものがみるみるうちに大きくなる。
『ノヴァ』
聞いた事しか無い伝説の魔法。流れ星を敵にぶつけるという。おとぎ話だと思ってたけど、実在するのか?
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