第百十四話 決意
すみません、昨日、明け方まで働いてて。遅くなりました(T_T)
「俺は戦うぞ、俺達の故郷を守るんだ!」
ごつい戦士みたいなおっさんが叫ぶ。故郷、僕は田舎から出て来たから、ここ、ポートカインにそこまで思い入れはない。好きか嫌いかと言えば当然好きだけど、命を賭けるかというと否だ。
ジェイルが王子に近づき、その前に立ち声を張る。
「ああ歓迎するぞ! どんな強いドラゴンだって、王子様と騎士団と俺たちなら倒せるはずだ! さあ、みんなで戦うぞ!」
なんか最低最悪なはずのジェイルが格好良く見える。けど、耳当たりが良い事言ってるだけで思ってる事は違うだろう。間違い無く奴は他の冒険者達を肉壁にするつもりだろう。
「俺も戦うぞ!」「俺だって戦う!」「私も戦います!」
冒険者達は次々と決意を表し、王子とジェイルを囲んでいく。え、なんでみんなこんなに勇敢なの? どう見ても僕ら以上の駆け出しに見える人達でさえ戦うつもりらしい。
僕の周りにいた人達も王子を囲んでいる。もう、誰もがみんな竜と戦うみたいだ。まあ、この場のノリで逃げる人も居るんだろうけど。
模擬戦場に続く階段を仲間たちが上がってくる。エリはモモの後ろにコソコソと隠れている。王子とは仮面はしてるけど、それでも身バレするような間柄なのかもしれない。もしかしたら血縁関係もあるのかも、似てるしね。
「なんか盛り上がってるみたいだけど、ハルトはどうするの?」
エリが小声で聞いてくる。
「王子様と騎士団、ジェイルと冒険者達も居るから僕らは行かなくてもいいんじゃないの?」
めっちゃめちゃ強いドラゴンらしいし、僕は弱いから死ぬ。間違い無く死ぬ。そんな所にわざわざ行くメリット無いし。今のうち、王子に目がいってるうちに逃げよう。
ん、なんだ? アイが僕の真ん前で、腰に手を当てて下から喚き始める。
「あんた、馬鹿でしょ。見なさいよ。みんな行くみたいだから、あたしたちだけ行かないと、今後のけ者よ。ただでさえギルドじゃ新入りなのに目立ってるのに、日に陰に厭がらせされまくるわよ。確かになんか流されてるみたいで嫌かもしれないけど、悪い事じゃないから、流されるべきよ」
アイが一気呵成にまくし立てる。『悪い事じゃないなら流されるべき』か……
なんかここまで唾飛んできたような? ていうか声デカすぎだよ。なんかみんなこっち見てるし。嫌な予感が。
「嬢ちゃん、ハルト、決着は一時お預けだ。ドラゴンとの戦勝パーティーで決着をつける。まあ、だが、戦いで死ななかったらだけどな。ハハハッ」
ジェイルが僕を指差す。行く気ないのに王子様までこっち見てるよ。
「ほう、君らのパーティーはジェイルたちと鎬を削る程強いのか。当然戦ってくれるよな」
最悪。王子様から直接指名されてしまった。モモが僕らの前に立って翼を広げる。
「当然に決まってるじゃ無いですか。ハルトが居れば、百人力、千人力ですよ!」
うわ、何勝手に引き受けてるんだよ。止むなしだ。
「まっ、任せてくださいっ!」
うう、締まらない返事になってしまった。
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