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 第百十一話 盾


「それがどうしたの?」


 エリの低い声が響く。同時にエリは真っ直ぐに突進し拳を伸ばす。その手がジェイルの腹に突き刺さる。


 ドゴン!


 エリの手が当たった後に大きな音がする。死んだなジェイル。エリの体重が乗った一撃を受けたんだ。間違いなく内臓破裂だろう。


 ん、けど、何かおかしい。


 そうだ。吹っ飛んでない!


 エリの強打を受けてジェイルは微動だにしていない。掲げた燃え上がる剣を振り下ろす。なんだと。どれだけ固いお腹してやがるんだ!


「えっ?」


 エリは大きく後ろに下がってかわす。


「それがどうした? 大した事ねーな。バートン見せてやれ。魔道具『犠牲の盾サクリファス・シールド』だ。全ての攻撃を肩代わりしてくれる」


 バートンが盾を掲げる。薄く光っていて点滅してる。まじか。聞いた事がある。稀少な魔道具でパーティーのダメージを全て肩代わりしてくれる盾だ。けど、一つ欠陥があってコスパが怖ろしく悪い。稼働には魔石が必要でその量がハンパないと言う。要は大金で安全を買ってるようなもんだ。


「ジェイル!」


 バートンが叫ぶ。だが、ジェイルはエリに向かって突撃する。そして剣を縦横無尽に振りまくる。普通の冒険者ならやられててもおかしくないが、相手はエリ。炎すらかする事なくかわしまくる。


「ジェイル! まて、ほとんど持ってかれてる! やめてくれ。チャージしないと次の一撃で盾が砕ける」


 ジェイルは攻撃を止めると、大きくエリと距離を取る。


「嘘だろ。嬢ちゃんの一撃がそんな強い訳ねーだろ。バートン、どっかで無駄遣いしやがったな」


「んな訳ねーだろ。俺らにそんな無駄遣いする余裕ねーだろ。ジェイル、降参しろ。盾が砕けたら、冒険どころじゃねーよ。裸で土下座くらい喜んでしてやるよ」


「はぁー、何言ってんのよ。盾くらいまた買えばいいでしょ」


「ミレ、あの盾がオークションに出る事はそうそう無いわ。悔しいけど、ここは手打ちにすべきよ」


「じゃ、早くチャージすればいいじゃない」


「魔石はジェイルが保ってるわ」


 なんかジェイルたちが揉めている。エリは興ざめしたのか腕を組んで見てる。


「ふざけんな。盾がどうした。そんなの無くても負ける訳ねーだろ。俺たちが力を合わせればどんな奴にも負けない。そうだろ」


 ジェイルは再びエリに向かって構える。エリはニヤリと笑うと口を開く。


「へぇー、そうなんだ。びっくりしたわ。凄い魔道具ね。けど、あと少しで壊れそうなんでしょ。今だったら降参を認めてあげるわ。慰謝料百万ゴールドでいいわ。あたしは裸で土下座なんか見たくもないから、何で納得するかはギャラリーに決めて貰って」


「調子に乗るなよ。俺様が負ける訳ねーだろ。攻撃食らわなきゃいいんだろ。おい、全員で一斉にかかるぞ」


「エリ、手伝いましょうかー」


 モモが緩い声をかける。


「んー、大丈夫。1人で十分よ」


「クソ、舐めやがって。行くぞ」


 ジェイルたち4人とエリが対峙する。さすがに1人じゃ無理なんじゃ? とは言っても加勢して役に立つのはモモくらいだし。


「お前たち何をしてる!」


 訓練場の入り口から良く通る男性の声がする。雑踏の喧騒の中、全員に届いたようで、入り口に視線が集中する。

 白い鎧を纏った美丈夫。兜を抱えていて、金色の髪をかき上げる。誰だ?


  


 読んでいただきありがとうございます。


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